
体験型アクティビティツアーのヤマガタエクスペリエンス(エイチ・アンド・カンパニー、山形県飯豊町、堀江守弘社長)は4月6日、「白の水没林を空から眺める雪原気球フライト体験」を催行した。家族連れやカップルなど20人が参加した。
同ツアーは、3月23・30日、4月6・13日、5月19日の5日間限定で設定。3月23・30日は強風のため催行中止となり、4月6日が初フライトとなった。
気球フライト体験の参加者達
ゴンドラに乗船
SNSを中心に〝奇跡の絶景〟とも呼ばれる「白川湖の水没林」。地上とロープでつながれた気球は約20メートルの高さまでゆっくりと上昇。3~4名ずつに分かれてゴンドラに乗船した参加者は、周囲を残雪に囲まれた〝白の水没林〟の景観や、雪に覆われた美しい飯豊連峰を堪能した。
気球から眺める「白の水没林」
山形県飯豊町(いいでまち)は、アドベンチャーツーリズムによる町おこしに取り組んでいる。
「『白川湖の水没林』における『映える』カヌーツアーを主軸としたサステナブルな観光地づくり」は、スポーツ庁、文化庁、観光庁による「スポーツ文化ツーリズムアワード2024」でスポーツ文化ツーリズム賞を受賞。白川湖の水没林は、JR東日本が展開するブランド「TOHOKU Relax」のポスターに採用され、JR東日本管内の主要駅で4月から掲示が始まった。JR東日本は、ECサイト「JREMALLチケット」で「白川湖水没林カナディアンカヌープライベートツアー」の販売も3月17日から開始。販売に合わせ、白の水没林・緑の水没林のPR動画がJR東日本の山手線、中央快速等11路線のトレインチャンネルで4月中旬から放映される。
飯豊町商工観光課観光交流室主任の菊川哲彦氏は、「ゴールデンウィークや東北の桜の時期と重なる春の行楽シーズンの新たな訪問先として、来訪者の方々に選んでいただきたい。オーバーツーリズム対策もしっかりと行い、サステナブルで、すべてのステークホルダーに支持される観光地『白川湖の水没林』を目指したい」と話す。
白川湖の水没林とは、山形県飯豊町の白川湖で春の2ヵ月間だけ見ることができる神秘的な風景。豪雪地帯である日本百名山の飯豊連峰から、春になるとダム湖である白川湖に大量の雪解け水が流れ込み、シロヤナギの木々があたかも水の中から生えているような、幻想的な光景になる。足場の良い白川湖岸公園からその風景を鑑賞できる。
3月下旬から4月中旬の1ヵ月間は、雪と静寂に包まれた「白の水没林」を、4月中旬から5月中旬の1ヵ月間は、芽吹いたシロヤナギとエメラルドグリーンの湖面、小鳥のさえずりが聞こえる「緑の水没林」を楽しむことができる。
5月中旬頃から雪解け水の流入が減り、田植えに向けて白川ダムが雪解け水の放流を開始すると、徐々に湖の水位が下がり、「水没林」は「林」に姿にもどる。
ヤマガタエクスペリエンスの堀江社長は、年間に2ヵ月間だけ出現するこの幻想的な風景に着目。6年前から水没林カヌーツアーを始めた。その評判はインスタグラムなどSNSを中心にじわじわと拡大。今では年間約3千人が参加する人気アクティビティに成長した。
YAMAGATA EXPERIENCE(準備中の気球)
同町観光課の菊川氏は「ヤマガタエクスペリエンスさんは、蔵王で『樹氷・氷瀑トレッキングツアー』なども催行し、多くのインバウンド客も集客している。白川湖の水没林をスノーモンスター(=樹氷)に負けないくらい世界的にメジャーな観光コンテンツに育て上げたい」と意気込む。その上で「インバウンド客を誘致することでGWに集中しがちな需要を平準化し、地域の観光振興に役立てたい。白川湖は赤湯温泉、小野川温泉からも車で40分程度の距離。白川湖畔公園にはキャンプ場、オートキャンプ場も完備しているので、ぜひ訪れてほしい」と語った。
【kankokeizai.com編集長 江口英一】