新型コロナウイルスの感染防止のため、修学旅行を中止する学校が相次いでいるが、奈良市は市への修学旅行を中止した学校に奈良を感じさせる商品を土産として送る事業を始めた。市への関心を高めてもらうのが目的で、こうした試みは全国的にも珍しい。
市の観光戦略課は「コロナ禍で修学旅行が中止となり、思い出づくりができなかった児童・生徒に土産を提供することで奈良への関心を深め、コロナが収束したらあらためて来てもらうのが狙い」と話す。
対象となるのは、(1)昨年9月1日から今年3月末までの間に出発日が設定されていた(2)市内の宿泊施設に1泊以上泊まり、かつ市内での見学や学習の行程が実施される予定だった―学校などで、市が発行する申請書に必要事項を記入、添付書類を同封して市に郵送する。2月26日まで申請を受け付ける。
代替となる修学旅行(日帰り旅行を含む)を実施した学校などは対象外。また、修学旅行を手配していた旅行会社も申請できない。
児童・生徒1人に付き千円相当の土産品を学校に送る。土産品は奈良にゆかりのあるものや奈良を連想させる菓子類や文具、小物などで、「何が届くか楽しみにしてほしい。日持ちのする奈良漬けもあるかも」と同課。事業費は4500万円で、予算に達次第、終了となる。
市を訪れる修学旅行生は2019年で82万人。内訳は宿泊が9万人、日帰りは73万人となっている。
ここ数年80万人程度で推移しているが、20年は新型コロナウイルスの影響でキャンセルも相次ぎ、同課は「旅館組合が修学旅行生を受け入れる宿泊施設を対象に聞き取り調査したところ、昨年3~6月は多くがキャンセルされたと聞いている」と話す。影響は深刻なようだ。
市は昨年9月、貸し切りバスの台数増や宿泊部屋の追加など感染防止に配慮した学校に、児童・生徒1人当たり最大2千円を補助する制度も創設。修学旅行誘致に積極的な姿勢をみせている。
コロナの影響で奈良を訪れる修学旅行生が減少している(東大寺)