奈良県とエクスペディア・グループは11月27日、観光振興にかかわる連携協定を結んだ。エクスペディア・グループが国内の都道府県と連携協定を結ぶのは、コロナ禍後では初めて。同県内への外国人観光客の誘客拡大や同県観光の課題である宿泊客増大に向け、エクスペディアの宿泊予約サイト上での情報発信などを連携して進める考えだ。
世界最大のオンライントラベルエージェントグループであるエクスペディア・グループの発信力を活用して、同県内の3つの世界遺産や国宝などの文化的価値の高い観光資源、豊かな自然といった観光コンテンツを、欧米豪を中心とした訪日客らに紹介。宿泊客や中南和地域への観光客が少ないといった同県観光の課題解決を目指す。
連携、協力するのは①外国人観光客の誘致拡大に関すること②奈良県の宿泊観光客増加に向けた取り組みに関すること③奈良県の旅館・ホテル等宿泊施設の発展・魅力向上に関すること④奈良県ブランドの発信等、観光振興に関すること⑤その他、協定の目的の達成に寄与すること――の5項目。
具体的な取り組みとしては、来年4月に始まる大阪・関西万博に合せて、12月上旬から来年8月の期間、米、豪、英、仏の4市場に対して、エクスペディア運営の宿泊予約サイト上に奈良県の特設ページを設置し、アクセスや観光コンテンツ、宿泊施設などに関する情報発信を行う。併せて1市場あたり3カ月程度サイトでのバナー広告の実施や、SNSや動画配信を利用したプロモーションなども展開する。
同県内でも誘客が課題となっている中南和エリアへの重点プロモーションの実施の可能性含め、情報発信していくエリアや内容は今後両者で協議して決める。
同日に奈良県庁で開いた協定締結式には、山下真奈良県知事と木村奈津子エクスペディアホールディングス代表兼エクスペディアグループリテール日本統括ディレクターが出席。山下知事は「米豪英仏からの訪日客は平均滞在日数が1~2週間と長く、観光消費額も大きい。この国々にターゲットを絞るにあたり、エクスペディアと組むことにした。長い滞在期間の1泊でも奈良に割いてもらう余力はあるのではないか。今回の連携が、外国人観光客への訴求に非常に大きな効果をもたらしてくれるものと期待している」とあいさつ。期待感を示すと、木村代表は昨年1年間でアメリカから日本に来た旅行社の約半数が同社を利用しているとの数字を示した上で、「京都、大阪などでオーバーツーリズムが懸念される中、それらの地域に近いだけでなく豊富な観光資源を持つ奈良県は無限大の可能性を秘めていると感じている。認知拡大だけでなく、きちんと予約、送客につなげるという意味で一気通貫のプロモーション、アクティビティの拡充や宿泊在庫の強化などにも取り組んでいきたい」と意欲を語った。
奈良県 https://www.pref.nara.jp/
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