観光立国推進基本法の制定を記念した「観光立国推進全国大会」が13日、東京都千代田区の九段会館ホールで開催された。主催は国土交通省。観光関連の団体や事業者、経済界、自治体などを中心に約700人が参加。来賓として安倍昭恵首相夫人が出席した。観光に携わる各層から意見発表があり、観光立国の実現に向けて、官民が積極的な役割を果たすことを求めた大会宣言を採択した。パネルディスカッションでは、「観光庁」の設置を求める提言もあった。
国会審議のため欠席した冬柴鐵三国土交通・観光立国担当相のメッセージを柴田耕介・総合観光政策審議官が代読、「今年1月に施行された観光立国推進基本法は、各界の声に支えられ、衆参両院ともに全会一致で成立した。恵まれた観光資源にさらに磨きをかけ、内外の旅行者に楽しんでもらえる『住んでよし、訪れてよし』の観光立国を実現するための法律だ。21世紀の日本の発展のために、観光立国の推進に向けてともにがんばろう」と訴えかけた。
続いてあいさつに立った安倍首相夫人は「海外に日本の良さをアピールするように心がけていますが、改めて考えるのは、日本の魅力とは何かということ。日本の魅力、あるいは自分の住んでいる地域の魅力、それを1人ひとりが考えることがとても大切。その魅力を多くの人に伝えたいという思いが、観光客を呼ぶ大きな力になる」と語った。
大会宣言は、日本経済団体連合会の江頭邦雄副会長が提案、「観光立国の実現のため、国、地方公共団体、観光事業者そして私たち1人ひとりがそれぞれの立場で積極的な役割を果たすことを宣言する」として採択された。
観光立国推進基本法について藤野公孝・国土交通大臣政務官が説明。各層からの意見発表では、愛知和男衆院議員(自民党)、伴野豊衆院議員(民主党)、太田房江大阪府知事、全国観光地所在町村協議会の福井良盟会長(奈良県吉野町長)、日本ツーリズム産業団体連合会の舩山龍二会長、阿寒観光協会まちづくり推進機構の大西雅之副理事長、立教大学観光学部学生の穴井祥恵さんが登壇した。
パネルディスカッションは、コーディネーターをタレントの岡部まりさんが務めた。パネリストは、有馬頼底・臨済宗相国寺派管長(京都仏教会理事長)、大浜長照・石垣市長、異文化コミュニケーターのマリ・クリスティーヌさん、柴田総合観光政策審議官の4人。
大浜市長は「観光地のバリアフリー化など取り組むべき課題はあるが、日本は、自然や文化といった豊かな観光資源、安心して旅行できる環境を有し、最も観光に適した国だと言える。観光立国を推し進めるには、観光庁、観光省の設置が必要だ」と訴えた。
有馬管長は京都の貴重な景観を守る、仏教界、商工会、市などの取り組みを条例化への動きを交えて紹介。クリスティーヌさんは、外部の智恵や技術を上手く連携させたタイの村々の特産品づくり運動から観光地づくりのヒントを提言した。
柴田審議官は「観光地づくりでも、景観づくりでもそうだが、観光はすそ野の広い産業であり、多くの関係者をいかにコーディネートしていくかが重要なテーマ。その中で『観光庁』も1つの課題。観光立国実現への持続的な取り組みを支える態勢のあり方を考えていきたい」と語った。
基調講演では、観光立国推進戦略会議メンバーでもある加賀見俊夫・オリエンタルランド会長が「観光立国実現に向けた諸提言」と題し、人材育成の重要性などを訴えた。
首相夫人