観光庁がこのほど発表した宿泊旅行統計調査の結果、2018年の宿泊施設の客室稼働率(速報値)は、前年比0.6ポイント増の61.1%となった。現行の調査手法になった10年第2四半期以降、上昇傾向にあり、最高値を記録した。シティホテル、ビジネスホテル、リゾートホテル、旅館いずれのタイプでも最高値だった。地域別では34都道府県が前年の客室稼働率を上回った。
延べ宿泊者数は近年、日本人客はおおむね横ばい、外国人客は増加している。客室稼働率の推移は、11年が51.8%、12年が54.8%、13年が55.2%、14年が57.4%、15年が60.3%と上昇が続き、16年は59.7%で前年を下回ったが、17年は60.5%、18年には61%を超えた。
18年の客室稼働率を施設タイプ別に見ると、シティホテルが前年比0.4ポイント増の79.9%、ビジネスホテルが同増減なしの75.3%、リゾートホテルが同0.8ポイント増の58.3%、旅館が同1.5ポイント増の39.0%(従業者数10人以上の旅館は同増減なしの54.9%)、簡易宿所が同0.6ポイント増の28.6%。
宿泊客の中心が観光客か、ビジネス客かで見ると、「観光目的の宿泊者が50%以上」の施設は前年比1.2ポイント増の51.6%、「観光目的の宿泊者が50%未満」の施設は同0.6ポイント増の69.9%となった。
都道府県別の客室稼働率の上位5位は、(1)東京都(前年比0.3ポイント増の80.3%)(2)大阪府(同2.6ポイント減の79.8%)(3)福岡県(同1.3ポイント減の71.5%)(4)愛知県(同0.7ポイント減の70.6%)(5)千葉県(同1.8ポイント増の69.1%)。
地方部で客室稼働率が高い地域は、広島県67.1%、沖縄県66.3%、北海道63.6%、石川県62.2%、熊本県61.5%、佐賀県61.4%、香川県60.6%、岡山県59.9%、青森県58.6%、長崎県58.1%、愛媛県57.8%、鹿児島県57.5%など。
客室稼働率が最も高かった東京都は、ビジネスホテルが84.8%、シティホテルが84.7%に達したほか、旅館が57.5%(従業者数10人以上の旅館は78.7%)、簡易宿所が51.5%となった。
2番目に客室稼働率が高かった大阪府は、リゾートホテルが90.4%、シティホテルが84.9%、ビジネスホテルが81.0%と高稼働だったほか、簡易宿所が61.4%、旅館が48.7%(従業者数10人以上の旅館は63.3%)だった。
都道府県別に旅館の客室稼働率の上位10位を見ると、(1)東京都57.5%(2)大阪府、石川県48.7%(同率)(4)北海道48.2%(5)愛媛県48.1%(6)香川県48.0%(7)群馬県、鹿児島県46.8%(同率)(9)静岡県46.3%(10)長崎県46.1%。
従業者数10人以上の旅館に限ると、上位10位は(1)東京都78.7%(2)神奈川県66.4%(3)静岡県63.9%(4)大阪府63.3%(5)北海道61.7%(6)群馬県60.9%(7)山梨県60.5%(8)愛媛県59.8%(9)兵庫県59.6%(10)鹿児島県、沖縄県59.1%(同率)―となった。
同調査の客室稼働率は、全国の全ての宿泊施設における推計値。旅館業法の許可施設数(厚生労働省の統計)は、18年3月時点で旅館が3万8622軒、ホテルが1万402軒、簡易宿所が3万2451軒。