新築、改装の工事請負や調度品、消耗品の販売など
JTBグループの専門商社として、旅館・ホテルなどに最適なソリューションを提案しているJTB商事。加藤雄次社長に今後の事業展開について聞いた。
◇ ◇
――旅館ホテル業界の現状についてどう認識しているか。
加藤 さまざまなデータを見ると宿泊需要は十分に回復して、さらに発展しようとしているさなか。当社の取扱額も特にアメニティは2019年度比で約120%とかなり好調に推移している。
ただ、コロナ禍を経て宿泊客の考え方や価値観が相当変わったので、それに合わせないといけないという難しさがある。例えば、非接触やプライベート空間を大切にしないといけないという考え方が浸透しているので、それに合わせてサービスの手法も考えないといけない。また、SDGs、特に脱炭素など環境配慮の考え方を持っている宿泊客がインバウンドを中心に増えているので、それに配慮しないといけない。
お客さまのニーズが多様化している。例えば、ペットへの対応は、コロナ前はどちらかというとお客さまの方も、それから受け入れる側も少し敬遠ぎみだったが、今は、なくてはならないサービスの一つになっている。また、過度なサービスはしなくていいというお客さまが高級旅館、高級ホテルでも一定程度いるので、そういったニーズに合わせる必要がある。
――そのような状況の中、どのような販売戦略を打っていくのか。
加藤 今、宿泊施設の課題は、人手不足が一番多い。そこで当社では「DX」をテーマにいろいろな商品、サービスを提供して、省人化や効率化のお手伝いをしている。例えば、自動チェックイン機や掃除ロボットなど、業務の効率化に役立つような商品を提供している。
意識改革も大切なので、コンサルティングや社員研修などを通じて、そういったお手伝いもできたらと思っている。
旅館・ホテルの規模や客層、地域によって抱えている課題は少しずつ違う。だから、商品ラインアップをそろえるだけでなくて、旅館・ホテル施設個々のニーズに合わせた提案を行うことが重要だ。当社は全国に営業拠点を構え、「顧客に寄り添った営業をする」という信念を持つ営業担当者がたくさんいるので、人の力でしっかりお客さまに対応する。
先ほど話したようにSDGsに代表される環境配慮の意識が高まっている。当社では、CO2排出とプラスチック使用量を削減するアメニティシリーズ「mugicara」(ムギカラ)をはじめとして、SDGs対応の商品ラインアップもそろえる。また、JTB商事も参画している「アメニティ・リサイクル協会」が、マテリアルリサイクルを行う宿泊施設を支援するスキームを構築中なので、そのスキームによりアメニティの回収、製造、提供という流れをしっかり作っていきたい。
地域活性化や施設の高付加価値化などを狙いとする補助金が今後も出てくるだろう。国や自治体の施策に沿って、みんながハッピーになるようなさまざまなご提案をしていくというのも営業戦略の一つだ。
――旅館・ホテル向けの商品・サービスを掲載した最新版カタログを4月に発行する。
加藤 今回は「ニューノーマル これからの常識」をテーマとして、環境配慮や省人化の課題を解決する商品・サービスを中心に紹介していく。コロナ期に言われていたニューノーマルではなくて、新しい時代の価値観に合わせた商品ラインアップを提案する。掲載する商品数は、前回よりも少し絞って、200ページ2千アイテムぐらい。2月の「国際ホテル・レストラン・ショー」にも出展し、全く同じテーマでブースを構え、このカタログで紹介する商品、サービスをいくつか来場者の皆さんにご披露したい。
――旅館・ホテル業界に向けて新年のメッセージを。
加藤 ツーリズム業界は、世界の産業を支える大きな一つの柱だ。その中でも日本の宿泊施設は独自性を出して日本にしかできない「おもてなし」を提供しており、私はこのサービスは世界一の品質だと思っている。今、訪日インバウンドが復活してきて、日本のおもてなしをアピールする絶好の機会が訪れた。この好機を生かして、一緒に頑張りましょう。
加藤社長
㈱JTB商事
【本社】東京都中野区本町2の46の1 中野坂上サンブライトツイン13階
【創立】1971年2月
【事業内容】新築、改装の工事請負、コンサルティングから装備品、消耗品の提案・販売、カタログギフト、販促品の販売など
【資本金】1億円
【従業員数】518人(2023年4月現在)
▷株式会社JTB商事