宿泊業は厳しく 内閣府景気ウォッチャー調査2月


 内閣府はこのほど、景気ウォッチャー調査の2月分を公表した。同月の景気の現状判断DIは前月比10.1ポイント増の41.3だった。家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の三つのDI全てが上昇し、調査ではウォッチャーの見方を「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさは残るものの、持ち直しの動きが見られる」とまとめられるとした。ただ、宿泊業の中では「緊急事態宣言が出ている現在は最悪の状態」と、厳しい声が上がっている。

 DIは宿泊、小売、運輸など、地域の景気を観察できる「ウォッチャー」に、3カ月前と比べた景気の現状や2~3カ月先の景気の先行きについて「良い」「どちらともいえない」「やや悪い」など5段階で判断してもらい、結果を数値化したもの(季節調整値)。

 現状DIを見ると、家計動向関連では、飲食関連が前月比16.5ポイント増の31.6と最も大きく上昇。サービス関連、小売関連もそれぞれ12.9ポイント増の35.7、10.0ポイント増の40.8と2桁上昇した。

 先行きDIは全業種合計が前月比11.4ポイント増の51.3。サービス、飲食を含めた家計動向関連など、全てのDIが上昇した。

   ◇   ◇

 景気判断理由の主な回答は次の通り。

 「インバウンドや国内団体観光客、イベント関連での宿泊予約がほとんどない。一方、若干ではあるが、医療関係者の長期滞在、Webを経由した個人ビジネス客の利用が見られる」(現状、不変、北海道、観光型ホテル)。

 「旅行需要はGo Toトラベルキャンペーンの一時停止により、個人も団体も新規申し込みはほぼない状況である。緊急事態宣言が解除されつつあるが、Go Toトラベルキャンペーンの再開に至らない限り厳しい状況に変化はなく、観光業界の落ち込みはより深刻さを増している」(現状、やや悪、東北、旅行代理店)。

 「新型コロナウイルス感染者数の増加で、1月の入込数は前年比で85%の減少である。今月もほぼ前年並みの減少になる」(現状、悪、北陸、観光型旅館)。

 「3カ月前にはGo Toトラベルキャンペーンの影響で、これまでにないほど多くの宿泊があった。緊急事態宣言が出ている現在は、ほぼ休館状態になり最悪の状態である」(現状、悪、九州、観光型ホテル)。

 「Go Toトラベルキャンペーンにより前年11月のホテル販売室数が前年比27%増とプラスだったのに対し、緊急事態宣言の影響で休館したことにより2月の販売室数は前年比94%減とマイナスに転じている」(現状、悪、沖縄、観光型ホテル)。

 「新型コロナウイルス感染状況が改善することが条件となるが、気候が良くなり、花見客などで来場者自体は増加することが予想される。前年は自粛期間で花見ツアーが全てキャンセルとなったが、今年は開催されることを切に願っている」(先行き、やや良、東北、観光名所)。

 「4月から開始されるワクチン接種により、さらなる感染者数の減少や病床使用率の改善が見込めるため、期待感を持っている。併せて、Go Toトラベルキャンペーンが再開されれば、さらに改善されると見ている」(先行き、やや良、北関東、旅行代理店)。

 「関西では緊急事態宣言が解除予定で、春休みも間近であるため、旅行者の増加に期待している。また、リモートワークや巣ごもり消費によるデイユースも伸びているため、今後も利用の増加に期待している」(先行き、やや良、近畿、都市型ホテル)。

 
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