宿泊業4団体は、外国人労働者の受け入れ拡大を目指して設立した「一般社団法人宿泊業技能試験センター」(以下、技能試験センター)の事務所を1日に開設した。宿泊業界が対象職種化への手続きを開始した技能実習法に基づく技能実習2号に必要な評価試験の実施業務を担う。併せて今国会で法改正が審議されている新たな在留資格「特定技能」の対象業種に宿泊業が決定した場合に必要となる技能試験の実施業務も想定している。来年度に向けて試験の実施態勢の準備を急ぐ。
技能試験センターは、日本旅館協会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟(JCHA)が共同で設立。9月27日付で法人登記された。
理事長には全旅連会長の多田計介氏が就任。理事には日本旅館協会会長の北原茂樹氏、JCHA副会長の小林磨史氏、全旅連常任顧問の佐藤信幸氏、日本ホテル協会専務理事の福内直之氏が就いた。事務所開設に先立つ11月22日には、技能試験センターの第1回理事会を開いた。
事務所は東京都千代田区の全国旅館会館2階に開設された。事務局長には、日本旅館協会事務局長を務めていた神田裕幸氏が就任。開設時の職員数は事務局長を含めて2人。ホームページ(http://caipt.or.jp)は簡易サイトを12月中旬に開設する予定。
技能試験センターの業務は、試験の策定、試験の運営実施など。宿泊業界としての外国人材の受け入れ施策などは、宿泊業4団体で構成する宿泊業外国人労働者雇用促進協議会(事務局・日本旅館協会)が引き続き担当していく。
技能実習2号移行対象職種への宿泊業の認定に向けては、宿泊業外国人労働者雇用促進協議会が手続き中。11月26日には、厚生労働省の「技能実習評価試験の整備等に関する専門家会議」の意見聴取に出席した。意見聴取は複数回開かれ、業界や職種の概要、試験案や海外の実習ニーズなどを説明する。専門家会議の結果を踏まえ、技能実習法の施行規則が改正されると、受け入れが可能になる。
また、新たな在留資格「特定技能」に関しては、出入国管理法の改正案が衆院で可決され、参院で審議されている。政府が今国会での改正法成立を目指し、来年4月の制度開始を予定していることから、宿泊業界では、政府の運用方針、制度の詳細に注視して準備を進める。