リクルートは、新型コロナウイルスの感染拡大から3年、宿泊業の人材をとりまく環境は厳しく、求職者の志向や賃金上昇の動向を踏まえ、人材獲得の難易度が上昇していると指摘する。その対応として、都市部の副業人材といった潜在労働力の活用、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を通じた業務負担の軽減による働き手の定着など、各地で成果を上げ始めている事例を紹介し、宿泊業を“働きたい場所”に変えていく必要性を提言した。
深刻な人手不足 新規採用に苦戦
宿泊業界では、国内旅行やインバウンドの需要回復を受け、人手不足が際立っている。多くの業界でアルバイト・パートの平均時給も上昇傾向にあり、人材獲得は難しさを増している。特に、都市近郊の観光地や大型の有名観光地に比べ、地方の中小規模の観光地で人材獲得の難しさが増している。
リクルート・ジョブズリサーチセンター長の宇佐川邦子氏は「宿泊業の多くではこの2年間、コロナの影響を受け、欠員補充、新規採用を行っていない状況で、大きな人員減となっている。さらにコロナの最中に、不安定な産業として認識されてしまったところもあり、新たな採用に苦戦している」と指摘する。
また、業種を問わず全般的な傾向として、求職者の多くは、「通勤の利便性がよい」「転勤がない」「家から近い」といったアクセスを重要視する人が増え、在宅のリモートワークに対する関心も高い。もとより休日数などの労働条件の良さは欠かせない要素となっている。
潜在労働力を開拓 DXで業務改善も
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