旅館・ホテル関連の5団体は22日、日本放送協会(NHK)に対し、事業所の受信料体系の見直しに関する要望書を連名で提出した。NHKは、08年度中の受信料体系改定を目指し、旅館・ホテル、病院などの事業者について、敷地内の2契約目以降の受信料を半額程度とする見直し案を発表している。これに対し5団体は、「依然、大口利用者の負担は過重であり、公平負担の環境が整備されたとは言えない」と指摘。単純比較すると負担が軽い料金体系を採用している英国放送協会(BBC)の事例を挙げ、「少なくともBBCと同程度」と要望した。
要望書を提出したのは、全国旅館生活衛生同業組合連合会、国際観光旅館連盟、日本観光旅館連盟、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟。NHK営業局法人営業センターの大西典良センター長を訪ね、文書を手渡した。
要望書によると、BBCの受信料体系は、一般家庭の場合が1台に付き年間135.5ポンド(約3万1700円、1ポンドを234.5円で換算)。この料金を基礎に、ホテルなどの宿泊施設は、最初の15台までを1契約分とみなし、以降は5台ごとに追加料金(135.5ポンド)が加算される仕組みだという。
5団体は要望書の中で「『2台目以降半額』を前提に単純に比較しても、15台の場合、BBCは3万1700円に対して、NHKは20万4160円と6.4倍強の負担となる」と強調した。
NHKは、06~08年度経営計画の中で、受信料の公平負担の徹底を図るためとして、旅館・ホテル、病院など事業所の受信料について「より合理的な受信契約への改定」を検討している。一般世帯を含めた受信料体系全体の見直しの中で議論し、今年9月末までに最終案をまとめる方針を示している。
現行の受信料体系では、複数のテレビを設置している旅館・ホテルなどの事業所は全数分を契約しなければならない。契約単位はテレビの設置場所(部屋など)ごと。しかし、会計検査院は昨年、調査結果をもとに、客室数に対する契約件数の実態は、ホテルグループ間、地域間(NHK地方放送局間)で異なっていると問題視した。
NHKが2月に示した見直し案は、契約単位は現行のまま、設置数の適正な申告を基に設置場所全数分を支払うことを前提として、衛星契約、地上契約ともに敷地内の2契約目からの受信料を半額程度にする内容。
5団体の要望書では、「そもそも、放送受信契約の単位自体に問題があると考えており、経営上、極めて過重な負担となることが、まちまちな契約率や未契約問題の大きな要因だ」と疑問を投げかけている。