日本政策金融公庫はこのほど、全国小企業月次動向調査の8月分を公表した。今年7月の小企業の売上DI(前年同月比で増加とする企業割合から減少とする企業割合を引いた値、季節調整値)は前月比3.2ポイント悪化のマイナス19.0で、2カ月連続で悪化した。業種別では、運輸業が前月のマイナス水準からプラス水準に転換。サービス業はマイナス幅が拡大した。
製造業は前月比9.7ポイント増のマイナス11.8。非製造業は同5.3ポイント減のマイナス20.5。
非製造業の6業種では、卸売業、建設業、運輸業が前月から好転。小売業、飲食店、サービス業が同悪化した。
運輸業は同30.2ポイント増の9.4と、前月のマイナス20.8から一転してプラス水準に転換した。建設業は同8.0ポイント増の9.9と、5カ月連続でプラス水準を維持している。卸売業は同17.3ポイント増のマイナス8.8と、マイナス水準ながら2カ月ぶりに数値が好転した。
サービス業は同15.6ポイント減のマイナス27.1と、2カ月連続で悪化。飲食店も同15.0ポイント減のマイナス30.3と、大きく数字を落とした。小売業は同2.6ポイント減のマイナス28.5と、小幅ながら悪化した。
来月(8月)の見通しは、全業種で今月比5.9ポイント増のマイナス13.1と、マイナス幅が縮小する見通し。
業種別では、運輸業と建設業が悪化し、ほかは好転の見通し。
調査は同公庫取引先の小企業(従業者20人未満。卸売業、小売業、飲食店は10人未満)1500社に実施。1123社から有効回答を得た。
売り上げ増の理由 顧客マインドが1位
7月の売り上げが前年同月比で増加した企業にその主な要因を聞いたところ(二つまでの複数回答)、「顧客マインドの上昇」が26.9%と最も多かった。ただ、前回調査(今年5月)の31.9%から5.0ポイント低下した。
次いで、「新規顧客の開拓」(21.1%)、「天候要因」(12.0%)、「消費税率の引き上げ前の駆け込み需要」(7.3%)、「取り扱い製品.商品.サービスの変更」(6.9%)、「復旧.復興需要の増加」(2.9%)—の順。
「新規顧客—」は前回調査から0.5ポイントの微増。「天候—」は7.0ポイント増と大きく増加した。「復旧.復興—」は前回の5.0%から減少し、漸減傾向が続いている。
反対に、売り上げが減少した企業にその主な要因を聞いたところ(二つまでの複数回答)、「顧客マインドの低下」が37.7%と最も多かった。以下、「天候要因」(17.2%)、「競争相手の増加」(16.9%)。