山代温泉観光協会(加賀市山代温泉)はこのほど、同温泉のゆのくに天祥で「ロスカボスが実践する観光地経営セミナー~高付加価値旅行者誘客と観光レジリエンスについて~」を開催した。メキシコ屈指のラグジュアリーリゾートであるロスカボスの観光局から局長を招き、小さな漁村がインバウンドの高付加価値旅行者が多数訪れる観光地になるに至った戦略策定や、ホテル、エアラインの現況などを学んだ。
講演したロドリゴ・エスポンダ氏は、アメリカ同時多発テロや2014年のハリケーン上陸、近年の新型コロナ禍などの災害や危機からの観光地の再生、誘客成功の経験を持つ。ロスカボス観光局日本支局の志田朝美マネージャーが22年まで加賀市観光交流機構のブランディングアドバイザーなどを務めていたことなどをきっかけに、能登半島地震からの復興のきっかけになればと今回の講演が実現した。
ロスカボスは、インバウンド客数世界6位のメキシコで、外国人旅行消費額と平均客室単価が最も高く、プライベートジェット離発着数最多など、インバウンド高付加価値旅行者誘客に最も成功しる地域。2023年の総入込客数は、加賀市のピーク時の入込客数とほぼ同じの400万人弱。観光が基幹産業であるが、住民平均年収は首位となっているという。
エスポンダ氏は、ロスカボス観光局の明文化しているミッションや顧客満足度の維持や空路の維持など戦略、5カ年計画を策定して事業を進めていることなどを紹介。ロスカボスのラグジュアリーホテルの平均単価の変遷や旅行者がロスカボスに求める要素についての分析などを解説した。
質疑応答では、温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録に向けた取り組みへのアドバイスを求める質問も。これに対しエスポンダ氏は「メキシコ料理がユネスコ無形文化遺産に登録された際に評価された点は、先住民の食文化とヨーロッパの食文化が融合し、現在まで受け継がれている点だ。温泉文化も何十代にわたる温泉旅館の存在があってこそ現在まで受け継がれてきたわけで、それがどれだけ尊いことかを理解し、伝えていくことが重要なのではないか」と語った。
講演するロドリゴ・エスポンダ局長(ロスカボス観光局提供)