山形県酒田市の私立酒田南高校は来年度から、観光による地域活性化を担う人材を育成する「観光・地域創生専攻」を開設する。庄内地方の旅館と連携し、生徒が旅館に住み込み、週末働きながら学校に通うプログラムを構築。生徒に観光の現場を学ぶ機会を与えるとともに、人手不足に悩む宿泊施設の課題解決の一助になると期待されている。既に14軒の施設が生徒の受け入れを表明している。
新しい専攻は地域創生で実践的な力を発揮できる人材の育成を目的に開設。授業には一般的な学力に加え、観光英語や作法など、実際の観光現場で役立つ力を身に付けるカリキュラムを盛り込む。
また旅館の現場で働く実習を行う。教育活動の一環として生徒にレポートの提出を義務付けるとともに、受け入れ先の旅館は学校と情報交換して生徒の成長につながる指導を行う。実習は単なる職場体験やインターンシップとは一線を画し、観光学の単位認定の評価の一つにするとともに、旅館から生徒への報酬も発生する。
事業には酒田市、鶴岡市、庄内観光コンベンション協会が全面協力している。
同校の中原浩子校長は山形県観光審議会委員も務める。中原校長は「地域の観光素材を商品として編集する人材の育成、流出が止まらない若者の地元への定着につながれば」と話している。