世界的に貴重な地質や地形を持ち、考古学的な見地や文化的観点などからの価値も持つ自然公園「世界ジオパーク」に、京都、兵庫、鳥取の3府県にまたがる「山陰海岸ジオパーク」が選定された。国内では4カ所目。ジオパークは、地質遺産を観光の対象とする「ジオツーリズム」を通じた地域社会の活性化も重要な活動の1つされることから、今後ジオツーリズムの普及、促進の拠点として、活動の活発化と、地域活性化が期待される。
世界ジオパークは、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の支援を受け04年に設立した世界ジオパークネットワーク(GGN)が推進、認定している。ヨーロピアンジオパーク会議(1〜5日開催、ギリシャ・レスボス島)の会期中、3日に行われたGGN会議で、山陰海岸ジオパークを含む11地域の加盟が承認され、世界25カ国77地域の加盟となった。
認定を受けた山陰海岸ジオパークは、山陰海岸国立公園を中核とした、京都府京丹後市・経ヶ岬から鳥取県鳥取市・白兎海岸までの地域。2500万年前の日本海形成にかかわる火成岩類や地層、地殻変動によるリアス式海岸や鳥取砂丘などさまざまな地質や地形が存在し、観察できる。
同地域ではGGN加盟に向けた取り組みを進めようと、07年に関連自治体や観光団体などが推進協議会を設立。08年12月に日本ジオパーク委員会(JGC)から「日本ジオパーク」として認定を受け、特有の地質や地形に加え、根付いた文化や歴史を体験、学習できるよう、モデルルートの設定や学習エリアの設定などを行うなど、ジオツーリズムを通じた地質遺産の保全や地域活性化に取り組んできた。
GGNへの加盟を受け、山陰海岸ジオパーク推進協議会の中貝宗治会長(兵庫県豊岡市長)は、「山陰海岸ジオパークとしての連携を深め、世界ジオパークの名に恥じない質の高いジオパーク活動を推進していきたい」とコメントした。
ジオパークとして活動するには第一に、地質遺産を活用した教育、普及、ジオツーリズム活動を行う態勢の整備と、日本ジオパークネットワーク(JGN)へのオブザーバー参加が求められる。さらに活動を推進するための地域協議会の立ち上げや、ユネスコのガイドラインに基づき活動が一定水準に達しているかの審査のクリアにより、JGNへの会員としての加盟と、「ジオパーク」の名称の使用が認められる。加えて、世界ジオパークとして認定を受けGGNに加盟するには、日本ジオパーク委員会(JGC)による推薦を受け、GGNの審査を受ける必要がある。
日本国内では昨年8月に洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島の各ジオパークが初めて世界ジオパークとして認定。このほか7地域が日本ジオパークとして活動する。このうち室戸ジオパークは、来年、GGN加盟への審査を来年受けることとなっている。
山陰海岸ジオパーク内の鳥取砂丘