帝国データバンクによると、温泉旅館経営の奥飛騨薬師のゆ本陣(岐阜県高山市、資本金500万円)は3月30日、事業を停止した。自己破産申請の準備に入った。負債額は約2億1千万円。
同社は、奥飛騨温泉内で「薬師のゆ本陣」を運営していた。同旅館はオージーエイチ(旧奥飛騨ガーデンホテル本陣)を吸収分割、事業譲受したもので、奥飛騨温泉郷新平湯温泉で最大規模の設備を有していた。2019年8月期の年収入高は約3億2300万円を計上していた。
しかし、設備負担が重く、損益分岐点の収入高の確保に至らず債務超過に陥っていた。2月21日に新型コロナウイルスの感染が確認された女性が飛騨地方のバスツアーに参加し、奥飛騨の宿泊施設に宿泊したと報道され、以降は予約のキャンセルが相次いでいた。3月以降も諸外国からの渡航制限措置で外国人宿泊客が激減した。
3月30日にいったん休業した後、7月以降に営業再開することを検討したが、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず収束の見込みも立たないことから、営業再開を断念。今回の措置に至った。