記者会見の様子
12月9日、岡山県真庭市の一般道で、クラブツーリズムが企画・実施した観光バスツアーでバスが横転する事故が発生した。同日夜、クラブツーリズムとバスを運行していた防長観光バスの親会社・防長交通が緊急記者会見を東京都内で開いた。クラブツーリズムの酒井博社長と、同社の長岡徹・取締役マーケティング本部副本部長、防長交通の東田成民社長が出席し、事故発生の経緯や状況について説明した。
酒井社長は冒頭、今回発生した事故について「当社が企画したツアー中に事故が発生したことは誠に申し訳なく、心より深くお詫び申し上げる。当社では、今年10月に発生したトルコでのバス事故を受け、国内・海外問わず全社で再点検を行い、安全対策の徹底を実施していた中、事故が再び発生したことは痛恨の極みであり、より一層の安全対策を取るよう全社に指示をした。引き続きお客さま、並びにご家族や関係者の皆さまに対し、企画旅行会社として被災者支援に全力で取り組んでいく」と謝罪した。
防長交通の東田社長も、「クラブツーリズムが主催したツアーにおいて、横転事故を起こしてしまい誠に申し訳ない。お怪我をされたお客さまに対し、心よりお見舞いを申し上げるとともに、一日も早いご回復をお祈り申し上げる。また、現地で対応いただいた関係各方面の皆さま方には改めて感謝を申し上げる」と謝罪。今後クラブツーリズムと連携し、被害者対応や警察の調査に全面的に協力していくと説明した。
ツアーの概要と事故の発生状況については、クラブツーリズムの長岡副本部長が説明。ツアー名称は「安芸の宮島・足立美術館・湯郷温泉・出雲大社・厳島神社両参り 山陰山陽ゴールデンル―ト」で、ツアー参加者は50～70代の男女43人。今月8日に新幹線で東京から岡山に移動し、岡山からバスで山陽・山陰の各名所を巡るというものだった。
事故が発生した9日は、湯郷温泉から足立美術館、出雲大社を巡り広島市内に宿泊する予定で、事故は湯郷温泉から足立美術館への移動中の午前９時42分に発生。米子自動車道走行中、別の交通事故により通行止めが生じたため、蒜山インターから一般道でう回路を目指していた中、道路から左に外れ、道路脇の畑に横転した。発生現場は見通しのよい直線道路で、事故当時は10センチ程度の積雪があったという。ツアー参加者11人が病院に搬送されたが、運転手と20代の男性添乗員１人含め、全員の命に別状はなく、入院者もいなかった。
防長交通の東田社長によると、バスの運転手は防長観光バスでの運転歴24年、乗客を乗せた事故歴のない60代男性が担当。車輪のスリップによって横転事故が発生したものと見解を示しているが、詳しい事故の発生要因については現在も調査中としている。
クラブツーリズムでは事故対策本部を設置し、現地に役員３人を含む６人を派遣。今回事故が発生したツアーは中止した。今後の同様のツアー商品の催行については、防長観光バスの安全が確認できるまで別のバス会社を利用してツアーを実施する方針としている。
クラブツーリズムの酒井社長（中央）と、防長交通の東田社長（右）
