岸田文雄首相は8日、衆参両院の本会議で所信表明演説を行った。コロナ禍を踏まえた観光政策については、「観光立国復活に向けた観光業支援」を強化する方針を示した。インバウンドの成果などを強調してきたかつての安倍晋三首相、菅義偉首相の所信表明演説、施政方針演説に比べると、観光政策に言及した部分は少ないが、観光産業への支援を明確に打ち出した。
岸田首相は、「成長と分配の好循環」「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとする「新しい資本主義」の実現を訴える中で、「地方活性化に向けた基盤づくりにも積極的に投資する」として、「観光立国復活に向けた観光業支援、文化立国に向けた地域の文化、芸術への支援強化にも取り組む」と述べた。
この他に「観光」に触れたのは、デジタル技術や先端技術の導入に関する部分。「地方は、高齢化や過疎化などの社会課題に直面し、新たな技術を活用するニーズがある。例えば、(中略)農業や観光産業でのデジタル技術の活用だ。ピンチをチャンスに変え、われわれが子どもの頃、夢見た、わくわくする未来社会を創ろう」と述べた。
衆院本会議で所信表明演説を行う岸田首相(画像・首相官邸ホームページから)