全国の宿泊施設における2020年10月の延べ宿泊者数は、前年同月比33.6%減の3324万人泊となった。観光庁が11月30日に発表した宿泊旅行統計調査の第1次速報値。新型コロナウイルスの流行は引き続き観光需要に影響しているが、10月から政府のGo Toトラベル事業に東京都発着の旅行や全国での地域共通クーポンの配布が加わり、日本人の延べ宿泊者数は前年同月の実績に対して約8割まで回復した。10月の宿泊施設の客室稼働率(第1次速報値)も改善が進み、43.1%となった。
月別の延べ宿泊者数は、5月に前年同月比が84.9%減を記録して底を打って以降は、GoToトラベル事業や地方自治体による旅行・宿泊の費用支援事業などの効果があったとみられ、7月が58.3%減、8月が58.6%減、9月が46.6%減と下げ幅が少しずつ縮小していた。
10月の延べ宿泊者数の内訳を見ると、日本人延べ宿泊者数が前年同月比17.2%減の3296万人泊、外国人延べ宿泊者数が同97.3%減の28万人泊となった。インバウンドは水際対策に伴う入国制限などが続き、訪日外国人旅行者が激減したままだが、日本人の宿泊旅行需要は回復が顕著だった。
全国の宿泊施設における10月の客室稼働率は、前年同月比20.5ポイント減の43.1%となった。依然として大きな落ち込みだが、20年9月の36.1%に比べると7.0ポイントの改善が見られた。
宿泊施設のタイプ別に10月の客室稼働率(カッコ内は前年同月比)を見ると、ビジネスホテル51.4%(25.9ポイント減)▽リゾートホテル44.9%(12.9ポイント減)▽シティホテル43.9%(36.7ポイント減)▽旅館35.4%(4.1ポイント減)▽簡易宿所16.3%(16.4ポイント減)。旅館、リゾートホテルは前年同月の実績と比較した減少幅が、他の施設タイプに比べて小さくなっている。