全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)は9月23日、山口市湯田温泉の西の雅 常盤で常務理事(各県理事長)、理事合同研修会を開き、新型コロナ感染症対策や宿泊施設に向けた支援策を、厚生労働省、観光庁の担当者から聞いた。
厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課の成松英範課長は、「生活衛生関係営業における新型コロナウイルス感染症対策」をテーマに、生衛業の景気動向、各種特別貸付や給付金、資本性ローンを含む資金繰り支援策の概要、宿泊施設におけるコロナウイルス感染症対策を説明した。「ガイドラインとの重複になるが、人との接触を避ける、手指の消毒を徹底する、換気を欠かさないなど基本的な項目の順守が重要。宿泊者や従業員の感染が疑われる場合には、速やかに保健所に連絡してほしい。万一陽性者が出てもガイドラインに沿って冷静に対応していただきたい」と呼び掛けた。
観光庁観光産業課の多田浩人課長は、「宿泊産業における新型コロナウイルス感染症による影響と支援策について」をテーマに、コロナ禍前後での宿泊者数や客室稼働率の推移、各種支援制度や宿泊施設バリアフリー化促進事業、地域旅館の面的再生に向けた政策の内容を解説した。「申請が難しいと言われた雇用調整助成金に関する動画を作成し、申請方法を詳しく紹介している。財務省と意見を交わしながら、事業継続のための宿泊施設アドバイザー派遣事業を開始し、予想以上の応募をいただいた。来年度予算にもこのニーズを反映させていきたい」と述べ、各種支援制度の積極的活用と、次年度以降の宿泊施設を対象とした事業展望について説明した。
8月24日に発足した全旅連ウィズコロナ調査研究会(大木正治座長=全旅連副会長)は、8月31日~9月17日に組合員を対象に実施したウェブアンケートの回答結果を発表した。同調査では、8月の売り上げが前年同月比50%未満の組合員が53.7%、9~12月の予約状況が前年同期比50%未満の組合員が71.9%に上るなど、厳しい経営状況が改めて示された。大木座長は、「われわれ組合員は共助し、国や菅首相に対して公助をお願いしていく。10月1日からGo Toトラベル事業に東京が含まれるのに伴って、10月末か11月初めに再度アンケートを取らせていただき、東京が解禁となってどのような状況になっているかについて調査したい。1人でも多くの組合員にご回答いただき、その結果を踏まえて今後の方針を決定していきたい」と述べた。
多田計介会長は、「新型コロナ禍により多くの問題を乗り越えて98回目の全国大会がライブ配信という形で行われるが、開催に至るまでにご苦労をいただいた各位に感謝申し上げたい。当初は参加者を動員しての開催を予定していたが、いろいろな環境の変化に伴い断念することとなった。テーマはコロナ一色だが、厚生労働省や観光庁の担当者から知見を示していただけることに御礼申し上げる」と述べた。
会場内の様子