政府は3月28日、観光立国推進基本計画の改定を閣議決定した。計画の対象期間は2017年度~20年度の4カ年。訪日外国人旅行者数4千万人、日本人の国内旅行消費額21兆円など、20年までに達成すべき七つの目標を掲げた。目標に準じて設定した参考指標を含めて、地方における宿泊数、消費額についても目標値を設けた。
基本計画は、2007年1月に施行された観光立国推進基本法によって策定が義務付けられている。過去の計画は5カ年が対象期間だったが、20年に開かれる東京五輪・パラリンピックなどを踏まえ、今回は20年度までの4カ年計画にした。
改定された基本計画は、政府が16年3月に策定した中長期の観光施策の指針「明日の日本を支える観光ビジョン」を生かした内容。20年に訪日外国人旅行者を4千万人にするなどの目標は基本計画に踏襲されている。
計画の基本的な方針には、「観光が、日本経済をけん引し、地域を再生する」として、「観光産業をわが国の基幹産業へと成長させていく」「付加価値が高く国際競争力のある生産性の高い観光産業へと変革していく」などの記述を盛り込んだ。
七つの目標のうち四つは訪日外国人旅行者に関する数値で、旅行者数4千万人(15年実績1974万人)▽旅行消費額8兆円(同3兆5千億円)▽旅行者数に占めるリピーター数2400万人(同1159万人)▽地方部における延べ宿泊者数7千万人泊(同2514万人泊)―を設定。
他の三つの目標は、日本人の国内旅行消費額21兆円(同20兆4千億円)▽日本人の海外旅行者数2千万人(同1621万人)▽アジア主要国における国際会議の開催件数に占める割合「アジア最大の開催国」3割以上(同26・1%)。
主な参考指標は、日本人の国内旅行について(1)宿泊観光旅行の1人当たりの年間平均宿泊数2・5泊(同2・27泊)(2)宿泊観光旅行を年間に一度も行わない国民の割合40%程度(同46・8%)(3)地方部における延べ宿泊者数3億1千万人泊(同2億9447万人泊)、旅行中支出12兆円(同10兆6千億円)。
基本計画の改定について石井啓一国土交通相は、3月28日の会見で「観光は、わが国の成長戦略の柱、地方創生への切り札だ。拡大する世界の観光需要を取り込み、世界が訪れたくなる日本への飛躍を図るため、政府一丸となり、本計画を着実に実施していく」と述べた。