国の地域観光事業支援による「県民割」事業は、ゴールデンウイーク(GW)の期間を除き、5月末まで延長されることになった。GW期間について観光庁は、コロナ前の実績には届かないものの、昨年を上回る人出が見込まれることから、旅行需要の回復状況と感染状況を考慮した上で対象から除外した。一方、全国規模のGo Toトラベル事業の再開について政府は、慎重に検討するとの姿勢を崩しておらず、当面、地域ブロックに拡大した「県民割」で観光需要を喚起する。
「県民割」延長
観光庁は4月20日、観光需要喚起策として都道府県を支援している「県民割」事業について、当初の実施期間は4月28日宿泊分までだったが、5月31日宿泊分まで延長すると発表した。GW期間の4月29日~5月8日宿泊分は補助の対象外。割引などの支援内容に変更はない。
期間延長について観光庁の和田浩一長官は、「各地の実施状況や地域の声も踏まえて、支援期間について、当面、5月31日まで延長することにした。足元の感染状況や需要動向などを踏まえて、繁忙期でもあるGW期間は、支援対象に含めないことにした」と説明した。
「県民割」事業は4月1日から誘客可能範囲を拡大した。隣接する都道府県に加え、地方単位の地域ブロックから誘客できる。誘客先の都道府県の同意を条件に、知事それぞれの判断で実施する。観光庁によると、4月20日時点で東京都、愛知県、大阪府を除く、44道府県が「県民割」事業を実施中で、このうち33道県で地域ブロックへの拡大が実施済み。
利用条件はワクチンの3回目接種歴、または検査の陰性証明。感染拡大局面にかかわらず、感染リスクが低いと知事が判断する場合には、居住地と同じ都道府県内の旅行について、2回のワクチン接種歴でも補助の対象とする。
感染状況がレベル3相当以上と知事が判断した場合のほか、緊急事態宣言の対象となった都道府県、まん延防止等重点措置の対象区域については補助を停止する。期間延長に伴い、レベル2相当であっても、感染拡大局面にあると知事が判断した場合には、事業停止を検討するよう求める。
「県民割」事業は期間が延長されるが、当面、予算の追加はない。和田長官は「今回の延長に伴って必要となる予算は、都道府県に昨年度交付した予算を活用してもらう。今後のさらなる対応は、各県の実施状況を丁寧に聞き取って検討する」。総額約3300億円の予算は、東京都を除く46道府県に交付。利用実績は集計中だが、昨年度末までに3分の1程度が使用されたとみられる。
Go To未定
会員向け記事です。