新しいホテル評価指針「ミシュランキー」に108軒 個性あふれるホテル・旅館を選出


ミシュランガイドのプレネック氏(右)、日本ミシュランタイヤの三輪唆矢佳氏(左)が、観光庁の秡川長官(中央)を表敬訪問し、ミシュランキーをPRした

大都市以外から半数、地方誘客に貢献

 ミシュランによるホテル評価の新たな指標「ミシュランキー」に選出された日本国内のホテル・旅館108軒が発表された。優れた滞在、体験を提供する個性あふれる魅力的な宿泊施設を選出し、「鍵」のマークの数で3段階で評価した。4日にはミシュランガイド・インターナショナルディレクターのグウェンダル・プレネック氏が来日し、選出したホテル・旅館をPRしたほか、観光庁の秡川直也長官を表敬訪問し、地方に立地する施設が多く選ばれているとして、訪日外国人旅行者の地方誘客にも貢献できるとアピールした。

 ミシュランキーは、ミシュランのレストラン評価の「星」と同様に、宿泊施設の評価指標となっている。宿泊施設の選定では、調査チームが匿名で一般客として宿泊し、評価を行っているという。2024年4月のフランスでの発表を皮切りに、アメリカ、スペイン、イタリアで発表されている。日本は5カ国目で、アジアでは初めて。

 ミシュランガイドへの掲載を判断する宿泊施設の評価基準は、(1)ホテル自体が旅の目的地であり、その土地ならではの体験ができる(2)優れた建築とインテリアデザイン(3)サービスの質、快適性、メンテナンスが行き届いている(4)価格に見合った体験ができる(5)施設の個性やユニークな特徴を反映した独自性がある。

 掲載施設のうち、さらにミシュランキーを獲得するには、次の3段階の評価に合致する必要がある。

 1ミシュランキー(特別な滞在)=独自の個性と魅力を持った目的地。型にはまらず、他にはない体験を提供している。サービスは一歩先を行き、同じ価格帯の宿泊施設より、多くのことを提案している。

 2ミシュランキー(素晴らしい滞在)=思い出に残る体験ができ、あらゆる点においてユニークで特別な宿泊施設。個性的かつ魅力的であり、誇りを持ち、細心の配慮を心がけ運営している。人々の目を引くデザインや建築、その土地が持つ魅力が特別な場所や空間を演出している。

 3ミシュランキー(最上級の滞在)=快適さとサービス、スタイルとエレガンスの全てを高いレベルで提供。世界で最も注目に値する最上級ホテルの一つで、一生に一度の特別な旅の目的地となる。ホスピタリティの全ての要素があり、その滞在は長く記憶に残る。

 日本からは、ミシュランガイドホテルセレクションとして7月1日時点で243軒が掲載されている。このうちミシュランキーに選出されたのは108軒。伝統的な歴史ある地方の旅館から、ファッショナブルな都会のブティックホテル、自然あふれる隠れ家的な滞在施設、世界的に有名なラグジュアリーホテルまで多様な宿泊施設が選ばれている。

 3ミシュランキーには、強羅花壇(神奈川県箱根町)、ホテル ザ ミツイ キョウト(京都市)、ブルガリホテル東京(東京都中央区)、フォーシーズンズホテル東京大手町(同千代田区)、パレスホテル東京(同)、アマネム(三重県志摩市)の6軒。
 2ミシュランキーには、亀の井別荘(大分県由布市)、ハレクラニ沖縄(沖縄県恩納村)、アマン京都(京都市)、あさば(静岡県伊豆市)、ザ・リッツ・カールトン日光(栃木県日光市)、西村屋本館(兵庫県豊岡市)、ふふ河口湖(山梨県富士河口湖町)など17軒。

 1ミシュランキーには85軒を選出した。べにや無何有(石川県加賀市)、あらや滔々庵(同)、ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート(岩手県八幡平市)、瀬戸内リトリート青凪by温故知新(松山市)、直島旅館ろ霞(香川県直島町)、別邸仙寿庵(群馬県みなかみ町)、旅亭半水蘆(長崎県雲仙市)、里山十帖(新潟県南魚沼市)、パークハイアットニセコHANAZONO(北海道倶知安町)など。

 4日には東京都内で記者発表会を開き、ミシュランの取り組みを紹介。選出したホテル・旅館の経営者や支配人などと共にミシュランキーをPRした。ミシュランガイド・インターナショナルディレクターのプレネック氏は「ミシュランキーは調査員が実際に宿泊して評価したもので、既存のブランド、ラベル、ネットワークから独立している」と述べ、選出したホテル・旅館の個性、魅力に自信を示した。

 プレネック氏は4日、ミシュランキーの発表後、観光庁の秡川長官を表敬訪問した。プレネック氏は「日本には独自のホスピタリティ文化があり、本物の体験がある。地方も魅力的で、ミシュランキーの半数以上の施設は、東京、大阪、京都などの大都市以外から選ばれている」と説明。秡川長官は「インバウンド旅行者にはもっと地方を旅してほしい。ミシュランキーへの掲載が旅行者の参考になり、それをきっかけに地方を訪れてもらえれば」と期待した。

 日本の地方部の魅力についてプレネック氏は「東京、大阪、京都に降り立つ外国人が多いのは確かだが、地方を訪れた旅行者は、まだ見つかっていない原石を発見する可能性がある。ぜひ長期間滞在してみてほしい」。日本旅館についても「料理を含めて、どっぷりと日本を体験できる。おもてなしもユニークだ。本物の体験という点で旅館の果たす役割は大きい」と述べた。

 ミシュランキーに選出されたホテル・旅館は、ミシュランガイド公式ウェブサイト(https://guide.michelin.com/jp/ja)などに掲載されている。


選出されたホテル・旅館の経営者や支配人も参加して行われたミシュランキーの発表会(東京都港区の八芳園で)


ミシュランガイドのプレネック氏(右)、日本ミシュランタイヤの三輪唆矢佳氏(左)が、観光庁の秡川長官(中央)を表敬訪問し、ミシュランキーをPRした

 
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