新会長としてのかじ取り JTB協定旅館ホテル連盟 会長 宮﨑光彦氏に聞く


JTB協定旅館ホテル連盟 会長 宮﨑光彦氏

 ――旅ホ連の意義について、どう考えているか。

 「旅ホ連はJTBと共に宿泊増売をメインとして活動していく経済団体だ。質の高い旅行をお客さまに提供し、地域の雇用や経済を守るという使命がある」

 「旅ホ連活動の第1の柱は、何といっても『宿泊増売』だ。さまざまなマーケットニーズに正対し、そのニーズに応えるだけでなく、新しい需要を創出する取り組みが求められる。売り上げ=商品力×販売力だ。インバウンドも見据え、より一層の高付加価値化を目指していく」

 「第2の柱は『地域振興・観光振興』だ。地域の魅力をどう高めるかも重要な課題と捉え、魅力ある観光地づくりのならではの『価値創造』に力を入れている。具体的には、JTBの仕入販売部や法個仕個所と旅ホ連が協業し、誘客に資する地域の着地型コンテンツ開発支援を進めている」

 「また、サステナブルツーリズムへの対応やJTBの地域戦略、地域交流事業とも連動して、持続可能な観光地づくりを推進していく」

 「第3の柱は『人財育成』。旅館経営人財育成アカデミーの拡充を図り、経営者・次世代経営者のみならず実務担当者も対象に、時代に即したセミナーの実施や『日本の宿 おもてなし検定』の受験を促進し、サービス向上と従業員のモチベーションアップを図る」

 「第4の柱は『組織強化』。宿泊産業の人手不足対策は極めて重要だ。人財確保とES向上と定着化に不可欠な会員の福利厚生のためにも旅ホ連共済を拡充。労働環境の整備やデジタルを活用した生産性向上、旅ホ連保険や専属の弁護士による無料『法律相談ホットライン』支援など役立つ組織でありたい」

 ――2023年度の事業で特に重点を置いているのは。

 「今年度は特に『共創』と『コミュニケーション強化』という二つのキーワードを徹底的に追求していきたい。これまでの『送客』という待ちの姿勢から、『創客』へと転換する。強固なパートナーシップのもと商品企画や販売、情報提供に関してJTBと旅ホ連会員がこれまで以上に意思疎通を図る機会を増やしていくための予算措置もした。例えば、会員施設の予約・販売担当者とJTBの仕入企画担当者同士が、現場で起こっているさまざまな課題を解決していくことがますます求められる。コロナ禍で、やや希薄となった会員とJTB社員とのリアルな関係性について、もう一度原点に立ち返り再構築を図っていく」

 ――JTBに対して何か要望はあるか。

 「今年度、新しい国内客室管理ツールの導入が実現の運びとなる。JTBの各販売チャネルのリードタイムに迅速、かつ柔軟に対応できるこの新システムを活用し、旅ホ連とJTBによる相互の緊密な取り組みにより、販売の最大化を目指し、課題の解決にもつなげたい。このJTBのご英断と実行力、尽力された大西前会長はじめ関係者の皆さまに心から敬意と感謝の意を表します。旅ホ連として、JTBのこの取り組みに報いるべく連携の強化を図り、最大限の努力をする所存だ」

「連携の基本は、宿泊をどう販売するか、お客さまをどう作り出すかということだ。お互いWIN―WINの立場で、いかにして稼ぐかということをシンプルに追求するための本音の議論を今後も重ねていきたい」

 ――6月の通常総会で新会長になられたわけだが、会長としての抱負を。

 「コロナ禍を経て、観光産業の真価が問われる大切な時にJTB旅ホ連の会長という重責を担い、本当に身の引き締まる思いです。まずは宿泊増売。JTBといかに販売拡大ができるかということを第一義的に考え行動したい」

 「組織の課題感としては、会員数が漸減傾向にある点だ。コロナで大幅に減少するという見立てもあったが微減でとどまり、旅ホ連の有用性を評価いただいたと思う。今後さらに、会員が旅ホ連に入っていて良かったと『実感価値』が得られるよう努力をしていく」

 「また、共創の中心となるのは支部活動だ。地域のことを一番よく知っているのは、地域の旅館・ホテルであり、全国に展開するJTBの47DMC支店。地域密着とネットワーク化をさらに進めていく。そして、『JTBからの新・4つのお願い』にもあるように行政との連携協力を強化し、各地域による情報発信に加え、稼げる地域への転換を一体となってサポートする」

 「お客さま、JTB、旅ホ連会員、そして地域がまさに”四方良し”となるよう、新たな旅行需要の創出につながる成功事例を数多く生み出していきたい」

JTB協定旅館ホテル連盟 会長 宮﨑光彦氏

【聞き手・板津昌義】

 
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