日本旅行業協会(JATA)は2月21日、「JATA経営フォーラム」を東京都内で開催。田川博己会長は、新型コロナウイルス感染症による風評被害が今後、全国の観光地で発生する可能性を指摘し、「JATAとしてしっかりと対応していく」と強調した。
開会のあいさつで、新型コロナウイルス感染症の拡大について触れた田川会長。「武漢から帰国者を受け入れた勝浦地区は今、風評被害に苦しんでいる。このように風評被害がこれからも各地で起こると想定される。JATAは、旅の力で日本を元気にする役目を負っているので、回復リカバリー策などしっかりと対応していく」と述べた。
今回のフォーラムのテーマは「既存事業深化とイノベーション『両利きの経営』を目指して」。経営共創基盤代表取締役CEOの冨山和彦氏による基調講演「両利きの経営に求められる経営リーダーシップ」のほか、四つの分科会も開かれた。
「デジタルネイティブ時代の新たな旅行会社のカタチ」分科会では、JATAの「国内旅行マーケットにおける新たな役割研究会」で研究、議論されたビジネスモデルの未来像を紹介した。研究会の座長を務めた日本旅行取締役常務執行役員個人旅行統括本部長の大槻厚氏は、「今、国内の個人旅行でマーケットの変化、顧客層の変化、競合相手の多様化、テクノロジーの環境変化がある中で、将来の旅行業界の在り方について研究すること」と研究会の目的を説明。研究会メンバーであるJTB個人事業本部事業統括部MD戦略担当マネージャーの加藤大祐氏は、OTAの動向を踏まえ旅行会社に必要なこととして(1)「手離れ」よい効率性を重視したビジネスから、顧客に「寄り添う」ビジネスへのマインドチェンジ(2)「エージェント」から「アドバイザー」への変革(3)旅行会社が有している企画力をさらに磨く(4)OTAとは異なる軸で勝負し、インターネットでは得られない独自の専門性を持つ(5)旅マエ、旅ナカ、旅アトでどのような顧客接点があり、どのような価値を提供できるか改めて深く考える―と報告した。
田川会長
「新たな旅行会社のカタチ」分科会の様子