「旅をしなければ飲めない酒がある」をコンセプトに、全国の酒蔵、土産店、旅館・ホテルの売店などで、ユニークな地酒が販売されている。北海道から沖縄まで、全国47都道府県の老舗酒蔵が製造した日本酒、焼酎、泡盛などを統一ブランド「旅酒」として、地域限定で販売しているもの。購入者を対象にスタンプラリーも行い、全ての商品を購入した人に認定証を授与。すでに10人の”全国制覇者”が現れるなど、商品が人々を旅へといざなう動機付けにもなっている。
「衰退する地方の魅力を訴求するお手伝いをしたい」「歴史ある酒蔵を未来に残したい」。そんな思いを込めて酒類販売を手掛ける株式会社旅酒の長縄明彦社長、利根川佳奈子取締役らがプロデュースした。
商品は北海道の「男山」から沖縄の「玉那覇酒造所」まで、全国各地の酒蔵がこのブランドのために醸造した地酒51種類(日本酒44、焼酎3、泡盛2、梅酒1、ウイスキー1)。
サイズは旅先で持ち運びやすい300ミリリットルで統一。ラベルは「1番日光」「51番福島」などと番号を付けるほか、それぞれの地域をイメージする色を施すなど、集めて楽しいデザインになっている。
2016年に22種類でスタートした後、1年後に47都道府県全ての酒蔵を網羅。コロナ禍の影響を受けたものの販売数、取り扱い店舗数も順調に増え、店舗は土産店の99店を筆頭に、酒店61店、道の駅49店など、合計302店。旅館・ホテルも35軒が扱っている(10月25日現在)。
商品の購入者を対象に、スタンプラリーを行っている。取り扱い店舗や、同商品を紹介するガイドブック(通販などで販売)に備え付けのスタンプ帳に、購入ごとに1個、スタンプを押してもらう。51種類、全てのスタンプを押印した人には、「全国制覇認定証」と、好きな銘柄が入った菰樽(こしもだる)(0.9リットル)を贈る。
現時点で全ての商品を制覇した人は10人。達成者の1人、和歌山県在住のNさんは「温泉巡りが趣味で、旅酒はその趣味を通じて楽しく集められた。スタンプが集まってくると店員さんが驚いてくれたり、応援してくれたりするのがとてもうれしかった」と全国制覇の達成式で思いを語っている。
株式会社旅酒は、同商品を販売する旅館・ホテルを募集している。同社の長縄社長は「通販では買うことができない、旅先でしか買えない酒。既に取り扱っている旅館・ホテルからは、日本酒のミニチュア瓶のセットと並ぶ人気商品になっていると聞く。売店などでの販売を検討いただければ」と話している。
北海道から沖縄まで、全国の地酒51種類がそろう
旅酒をプロデュースした株式会社旅酒の長縄社長(左)と利根川取締役