JRとのシステム結合を行うJTB、近畿日本ツーリスト(KNT)、日本旅行、トップツアー、農協観光の5社で構築したJR券販売の新システムが、まずJTBで17日に稼働する。JR券販売システムは各社の独自開発が通例だが、開発・運用費を抑える思惑が一致して共同化に至った。
パンフレット配送センターなど、旅行会社間に存在する同様のシステムや仕組みを数社で共用しようとの発想は以前からあったが、実現したのは今回が初めてとなる。
JRの委託販売をする旅行会社の多くはJRから座席予約システム「マルス(MARS)」の端末を借りるが、JTBなどの5社は自社端末を使って発券するため、マルスと自社システムを結合している。そのインターフェースは、1980年のJTBをはじめ各社ともシステム結合時からのもので、列車の多様化やダイヤの過密化などに応じてマルス機能が年々強化された末に耐用限界にあった。
5社によるJR券販売システムの開発は、今春、JR側からインターフェースの更新を機に打診された話だという。
結合5社では、数社でシステムを共同開発する構想が10年ほど前から持ち上がってはいたが、その功罪を測りきれず、これまで見送られてきた。
5社共同のJR券販売システムの名称は「ACMS」。マルスシステムなどを手がけるJRグループの鉄道情報システム(JRシステム)に委託して開発した。従来はプロ仕様だったが、初心者でも操作できるようにしたのが特徴だ。
JTBでは、自社の予約・販売システム「TRIPS」に取り込みACMSを稼働。発券は来年1月から。KNTと日本旅行はともに2010年1月の稼働を予定している。