スマホで入退室できる「かぎパス」も開始
1959年に設立したITソリューションを主体とした総合エンジニアリング企業の構造計画研究所(東京都中野区)は、「大学、研究機関と実業界をブリッジするデザイン&エンジニアリング企業」を企業理念に掲げている。今日まで構築物を取り巻く地震、津波や台風などの自然環境の解析やシミュレーションを図り、社会の抱える問題の解決を提案し、確固たる地位を築く。
同社は旅館・ホテルに対しても、混雑案内の「ピープルカウンター」や、暗証番号・QRコードで解錠可能なスマートロック「RemoteLOCK(リモートロック)」の活用を提唱するなど、一石を投じている。RemoteLOCKの営業担当部長の池田修一氏=写真=に、サービスの特徴や、今後の活動方針を聞いた。
――宿泊市場の現状をどう捉えているか。
昨年5月のコロナの5類移行に伴い、インバウンドの増加が全国的に顕著で、宿泊施設においても今後の需要が高まり、収益源の確保につながると考える。その一方で、宿泊事業の現場では慢性的な労働力不足に頭を悩ますことはもちろんのこと、業務の生産性の向上や、高付加価値化の実現など、課題が山積している。実際、100%の稼働が困難で、サービスが行き届かないといった深刻な状況に陥る施設も存在している。
――宿泊市場向けに展開するRemoteLOCKの開発の経緯や特徴について説明を。
元々は、米国のLockState社(現Remotelock社)の製品で、当社では住宅宿泊事業法(民泊新法)が成立した2017年から社内ベンチャー的に発売を始め、日本国内における独占的販売権を有する総代理店および販売・サービスの提供元の役割を果たしている。客室数30室以上の旅館・ホテルを中心に導入数を伸ばしているほか、学校体育館をはじめとする公共施設でも導入実績を伸ばしており、100自治体を突破したばかり。
主な特徴は、(1)暗証番号および、QRコードが鍵代わり(物理鍵は不要)(2)複数の客室と予約者ごとの暗証番号を一元管理(3)サイトコントローラーやPMSと連動し、予約情報から暗証番号を自動発行(4)入室履歴を自動取得―などが挙げられる。
また、暗証番号には有効期限を設けることが可能で、宿泊期間終了後の不正な入室を防止。さらに、従来のカードキーなどの物理鍵の受け渡しが不要で、フロント業務の省人化につながり、宿泊施設運営での鍵管理の手間やトラブルを低減。すなわち、人件費などの運営コストを削減できる。
――今秋からはRemoteLOCKの管理システム「RemoteLOCKクラウド」で、Appleウォレットおよび、Googleウォレットとの連携が可能な新機能「かぎパス」の提供を始めた。
RemoteLOCKクラウドは、登録したRemoteLOCK製品の入室権限を管理し、1台あたり最大1500ユーザーまたはゲストユーザーのアカウントを発行。ホテル管理システムや各種予約システムなどとの連携で、予約期間に合わせた入室権限の自動発行・削除も可能で、物理キーでは実現できないスマートなセキュリティ管理を実現するなど利便性に長けるシステム。
かぎパスは、新たに搭載される「ビジネススタンダードプラス」プランのみ利用可能な機能。宿泊予約情報をウォレットに追加することで、鍵の持ち歩きを省き、入室のためのQRコードや暗証番号を瞬時に確認し、スマートな施設滞在に貢献する。
ゲストのスマートフォンが鍵の代わりになることで、宿泊体験の向上や、フロント業務のさらなる効率化に寄与できればと考える。
――今後はどういったサービスを展開するか。また、旅館・ホテルへのメッセージを。
入退室のプラットフォーマーとして今後も宿泊施設に導入を拡大していきたい。また、鍵のメーカー様との連携で、RemoteLOCKのブランド力の向上を図りたい。
弊社では、旅館・ホテル、簡易宿所や一棟貸しまで、幅広い導入実績がある。施設運営の見直し、まずはチェックインや鍵の受け渡しから検討してもらえれば。
構造計画研究所 本社=東京都中野区本町4丁目38番13号 日本ホルスタイン会館内▽資本金=10億Ⅰ千万円▽従業員数=約665人▽事業内容=システムソリューション、プロダクツサービス、エンジニアリングコンサルティングなどのソリューション▽連絡先=TEL050(1808)1888
【聞き手・坊ヶ田知大】
構造計画研究所 池田修一氏