旅館女将がバリアフリー体験、優しい宿へ生かす


車いすでの段差越えに苦労する参加者

車いすでの段差越えに苦労する参加者

 千葉県旅館ホテル組合に加入する施設の女将らでつくる「千葉県菜の花女将会」(鈴木まり子会長=ロイヤルヒルズ八宝苑、54会員)は5日、千葉県千葉市の京成ホテルミラマーレでバリアフリーをテーマにした勉強会を開いた。バリアフリーに先駆的に取り組む同ホテルで参加者は、盲導犬利用者らの生の声に触れたほか、車いすでの動作を体験し、施設やサービスの在り方について考えを深めた。

 参加者は、盲導犬利用者、中途失調者、車いす利用者から、旅先で気付いたことや協力してほしいことなどを聞いたほか、エレベーターのかごや路上の段差などを想定して会場内につくったコースを車いすで走行し、車いすの操作の難しさや介助のコツなどを体験した。また、京成ホテルミラマーレで使っている補助具やメニュー表などの説明も受け、ホームセンターで売っているロープやブロックでバリアフリーを実現できることを学んだ。勉強会の最後には感想を発表し、参加者同士がバリアフリーに対する意識を共有した。

 千葉県は今年10月に全国障害者スポーツ大会が開催されることから、バリアフリーへの対応が求められている。「宿泊施設は、障害を持つ人の受け入れに対し不安が先に立ちやすく、尻込みしがち。しかしバリアフリーは特別なことではなく、『気持ち』と『コミュニケーション』が大事なのだと会員も分かったのではないか」と鈴木会長。

 長年にわたり京成ホテルでバリアフリーに取り組み、勉強会のコーディネーターを務めた秋元昭臣氏(茨城県土浦市、ラクスマリーナ専務)は、「京成ホテルもお金をかけずにできることから始め、徐々に改善していった。今日の勉強会で障害を持つ人とのつながりや、同じようなレベルからバリアフリーに取り組もうという女将さん仲間のネットワークができたと思うので、まずは介助犬受け入れのステッカーを貼るところから始めてもらえれば」と、女将会への期待感を語った。

 菜の花女将会は、07年のちばデスティネーションキャンペーンを契機に、07年に結成。昨年から勉強会を年4回開き、研さんと交流を図っている。

車いすでの段差越えに苦労する参加者
車いすでの段差越えに苦労する参加者
 
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