旅館甲子園、「さかえや」が2連覇


グランプリとなった春蘭の宿さかえやのパフォーマンス

 旅館業の魅力や自館の取り組み、仕事への思いを従業員らがプレゼンテーションする第3回「旅館甲子園」(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部主催)が2月22日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で行われ、最高賞のグランプリを「春蘭の宿さかえや」(長野県渋温泉)が受賞した。前回の第2回(2015年)に続く2連覇となった。

 今まで注目されることが少なかった旅館で働く人にスポットを当てたという事業。従業員らの目で見た旅館業や自館の魅力、仕事にかける思いをさまざまな手法でアピールしてもらい、「学び」「気付き」を業界関係者ら観覧者に感じてもらおうというもの。

 今回は青年部に所属する経営者の旅館など全国1350施設に出場を募ったところ、各都道府県組合青年部長の推薦を受けた87軒がエントリー。実行委員会による1次審査で18軒が選ばれ、この中から旅館、飲食、行政など8人の審査委員による2次審査(書類審査)で5軒がファイナリストとして当日の最終審査に進出した。

 群馬県伊香保温泉の「ホテル松本楼」は、若い人材の定着に向けた「エルダー制度」、岡山県奥津温泉の「名泉鍵湯 奥津荘」は、新たな土産品開発など従業員の率先した取り組み、大阪府あまみ温泉の「南天苑」は、クレームを受けた宿泊客に誠意をもって対応し、問題を解決した事例を紹介。

 兵庫県城崎温泉の「但馬牛の宿 小宿縁」は、料理を通して宿泊客に地元の魅力と生産者の思いをアピールする取り組み、さかえやは、不登校などさまざまな問題を抱えた生徒らを就労体験で受け入れたり、社員全員で会社の経営を考え、業績を伸ばす意識を醸成する取り組みを進めている現状を紹介した。

 審査員票と、観覧者による会場票、2次審査の票を合わせて、最も高い得点を得たさかえやが最高賞のグランプリを獲得。表彰状と、協賛企業からの賞品が贈られた。

 さかえやの湯本晴彦社長は「私たちが本当にグランプリとしてふさわしいのか。名実ともにおもてなし日本一の旅館にしたい、2年前から成長した姿を見てもらいたいと、再挑戦を決意した」と、出場の意図を述べた。

 審査委員長を務めた全旅連の北原茂樹会長は「出場者のメッセージをしっかりと受け止め、自身の旅館経営に生かしてもらいたい」と来場者に向けてあいさつ。全旅連青年部の桑田雅之部長は「旅館業界の元気とやる気を伝える場だ。業界の素晴らしさを多くの人に知ってもらいたい」と、次回の第4回開催に意欲を示した。

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