日本政策金融公庫は21日までに、「国内宿泊施設の利用に関する消費者意識と旅館業の経営実態調査」の結果をまとめた。全国8地域(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州)の宿泊施設の利用動向と経営実態を明らかにしている。経営実態調査については同公庫の全国の支店が融資した旅館業の経営者らにアンケートした。8地域の主な経営実態は──。
北海道(65事業者)
宿泊施設の顧客層は全国平均に比べて外国人が多く、団体・ツアー客や旅行代理店経由の申し込み割合は低い傾向にある。平均宿泊単価は全国平均に比べて低く、4千〜8千円が中心となっている。
経営上の問題は第1位が「施設の狭あい・老朽化」で、以下、「資金不足」「宿泊単価の低下」「債務の返済負担」と続く。外国人の集客に向けた取り組みの実施状況では外客に対応した宿泊サイトへの登録、自社ホームページ(HP)の外国語表記の実施など、「何らかの取り組みを実施している」割合が24%と全国平均(18%)を上回っている。
東北(75事業者)
顧客層に占める外客の割合は全ての企業が「20%未満」と回答しており、少ない傾向がみられる。また、旅行代理店経由の申し込み割合も低い。
経営上の問題1位は「施設の狭あい・老朽化」だが、2位は「新規客の開拓」だった。また、シニア層に特化した食事の提供や割引サービスなど何らかの取り組みを「実施している」割合が32%に上り、全国平均(23%)を上回っている。
関東(102事業者)
顧客層に占める旅行代理店経由の申し込み割合は全国平均に比べ高い。経営上の問題1位は「宿泊単価の低下」「施設の狭あい・老朽化」で、以下、「新規客の開拓」「資金不足」の順。
インターネットを活用した取り組み(複数回答)では「HPの開設・公開」「宿泊サイトへの登録」「HPでの予約受け付けの実施」などすべての項目で実施割合が全国平均よりも高い。
中部(233事業者)
平均宿泊単価は8千円以上の割合が57%と全国平均(44%)を上回っている。経営上の問題1位はやはり「施設の狭あい・老朽化」で、2位は「資金不足」だった。
シニア層向けの取り組みは「実施している」割合が30%と比較的高い半面、外客向け取り組みを「実施している」割合は15%と全国平均よりも低い。
近畿(101事業者)
経営上の問題は「施設の狭あい・老朽化」が1位、「宿泊単価の低下」が2位、「スタッフの確保・育成、活性化」が3位に。いずれの割合も全国平均を上回っている。
顧客層に占める割合では外客、旅行代理店経由の申し込みの割合が高い傾向がみられる。
中国(54事業者)
経営の参考情報の入手先では「商工会・商工会議所」の割合が30%に上り、全国平均(18%)を大きく上回っている。
経営上の問題点1位は「施設の狭あい・老朽化」で、以下、「資金不足」「スタッフの確保・育成、活性化」などに頭を悩ませていることが分かった。
四国(25事業者)
平均宿泊単価は4千〜6千円未満の割合が40%に上り、シニア層の売り上げ割合は60%以上の企業割合が25%と全国平均(13%)に比べて高くなっている。
経営上の問題は1位が「新規客の開拓」、2位「宿泊単価の低下」、3位「施設の狭あい・老朽化」となっている。
九州(118事業者)
平均宿泊単価は6千円未満の割合が52%を占めており、全国平均(33%)に比べ高い。
経営の参考情報の入手先では同業者の割合(48%)が全国平均(44%)よりも高く、1位となっている。