日本商工会議所はこのほど、各地商工会議所の会員企業からの規制・制度改革の意見を取りまとめ、政府の規制改革会議や産業競争力会議、経済財政諮問会議に提出した。中小企業の活力を引き出すため、「妨げとなる現行の規制・制度をゼロベースで見直し、労働規制の緩和を含め、大胆な改革を断行すべきだ」として、観光面では、観光遊覧船や屋形船など新航路開設手続きの簡略化と航行プランの自由度拡大などを求めた。
「中小企業の活力強化・地域活性化のための規制・制度改革の意見50」として提出。2月から3月にかけて、全国43カ所の商工会議所を通じて会員企業にヒアリングし、中小企業の活力強化や地域活性化の視点で、規制・制度改革を希望する「現場の生の声」(日商)をまとめた。「政府(規制改革会議など)における検討分野」と「中小企業の活力強化と地域活性化を促進する分野」で構成されている。
まず、政府で検討すべき事項として、(1)訪日外国人観光客のニーズに合わせた免税制度の導入(2)外客拡大のためのビザ発給要件の緩和と出入国手続きの迅速化—の2点を挙げた。日商によると、免税制度は現行、外国人旅行者に人気のある食品、飲料品、化粧品などのほか、地方都市の魅力を伝える地域産品(日本酒や焼酎など)も免税対象外品目とされている。意見はこれらを品目に加えるよう求めた。
(2)は、外客の増加とその滞在時間を増やすことで観光消費の拡大を図るのが狙いで、数次ビザ発給の対象国拡大と、地方空港や港湾における出入国手続きの迅速化を要請。特に、数次ビザについては「ベトナム、フィリピン、インド、ロシアなどへの対応拡大が望まれる」としている。
中小企業の活力強化と地域活性化を促進する分野では、「観光の振興」として(1)観光遊覧船や屋形船などの新航路開設手続きの簡略化と航行プランの自由度拡大(2)観光客の回遊性向上のための小型特殊車両にかかる基準の見直し(3)外国クルーズ船の領海内でのカジノ営業の容認(4)特別史跡を活用した国際観光拠点化のための現状変更の制限に関する許可基準の緩和(5)観光によるまちおこしのため、旅行業登録を行う際に必要となる営業保証金の免除—を挙げた。
(3)は、外国クルーズ船の日本への寄港の可能性を高め、観光振興を図るのが目的で「航行中(接岸していない状態)で、かつ同船舶の乗船客に限り、日本領海内でのカジノ営業を刑法の例外措置として認める」とした。
また、(5)については「地域で信用があり、弁済能力ある主催団体などが(旅行業)登録する際は営業保証金を免除する」よう求めた。