優れたサービスを行う事業者を表彰する「日本サービス大賞」(主催、日本生産性本部・サービス産業生産性協議会)の表彰式が6月28日、東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京で開催された。18件が選ばれ、観光業界からは陣屋(神奈川県秦野市)が総務大臣賞、北海道宝島旅行社(札幌市)が優秀賞を受賞した。
日本サービス大賞は2016年度に続き2回目。全国から392件の応募があった。第1回内閣総理大臣賞はJR九州の「ななつ星in九州」が受賞している。
今回、最優秀賞である内閣総理大臣賞は三菱地所(東京都)が受賞。東京・丸の内の再開発で土日もにぎわうエリアを実現したことなどが評価された。安倍晋三首相が同社の杉山博孝会長に表彰状と記念品を手渡した。
首相はあいさつで「総理大臣賞を、いつの時代かには世界のサービス大賞にしたい」と述べ、受賞企業に対し「わが国のサービス業における生産性革命をけん引してほしい」と期待した。
総務大臣賞を受賞した陣屋からは宮﨑知子代表取締役女将が和服姿で登場し、坂井学総務副大臣から表彰状と記念品を受け取った。
倒産の危機を自社開発のクラウド型旅館管理システム「陣屋コネクト」で打開したことが高く評価された。特に、旅館業務に必要な機能を網羅し、業務効率化や情報共有、経営情報の一元管理を可能にしたことや、陣屋コネクトを300超の他社施設にも提供し、旅館同士のリソースの融通に取り組んでいることなどが大きなポイントとなった。
本紙の取材に応じた宮﨑さんは「創業100周年の年に栄誉ある賞をいただき大変光栄です。『旅館を憧れの職業に』という目標達成は道半ばですが、この取り組みを業界に広げて、(旅館の)活性化に貢献できればうれしいです」と笑顔で語った。
優秀賞に選ばれた北海道宝島旅行社は、多様なプログラムをもとにオーダーメードツアーとして仕立てることで高付加価値化を実現、観光地を巡るだけでは飽き足らない海外富裕層の旅行者に提供している。
鈴木宏一郎社長は、「『北海道の価値をみんなでカタチに』というミッションを掲げ、世界一の北海道で世界一の会社になることを目指して丸11年。『住んで良し、訪れて良し、間に立って良し』の実現のためにますますがんばっていく」とコメントした。
その他の受賞事業者は次の通り。
地方創生大臣賞=アルビレックスグループ(新潟県)、大垣共立銀行(岐阜県)、島根電工(島根県)、総合メディカル(福岡県)▽厚生労働大臣賞=ダスキン(大阪府)▽農林水産大臣賞=ムジャキフーズ(東京都)▽経済産業大臣賞=ヤクルト本社(同)▽国土交通大臣賞=JR東日本テクノハートTESSEI(同)▽JETRO理事長賞=キュービーネットホールディングス(同)▽優秀賞=オオクシ(千葉県)、セコム医療システム(東京都)、東急コミュニティー(同)、三越伊勢丹(同)、AsMama(神奈川県)、FUKUDA(京都府)。
受賞者全員とプレゼンターによる記念撮影で、安倍首相の後ろに立つ陣屋の宮﨑さん(6月28日、ANAインターコンチネンタルホテル東京で)
日本生産性本部の茂木友三郎会長(左)と記念撮影する北海道宝島旅行社の鈴木社長