日本ナショナルトラスト(JNT)は公益支援事業を強化する。従来の資産保有によるハードを中心とした事業から、情報やノウハウ提供などのソフトを重視する事業へと事業内容を拡大する。
同団体は、国民的財産である美しい自然景観や貴重な文化財・歴史的環境を保全し、利活用しながら後世に継承していくことを目的にした公益財団法人。英国の環境保護団体「ザ・ナショナルトラスト」を範として1968年12月に設立された。市民参加による調査事業、調査を基にした保護対象の選定や取得と修復・活用、地域の歴史を生かしたまちづくりの拠点であるヘリテイジセンターの建設などの活動を行ってきた。
新たな支援事業は2024年度から全国各地で開始する。観光資源の調査研究活動や保存と活用を図る活動を支援。観光の健全な発展を促進し、国民生活の文化的向上と地域振興に寄与することを目的に掲げた。
「地域遺産支援プログラム」として、公募により対象地域を決定。地域で活動する団体からの提案に対して、JNTが専門家を派遣するなどしてプロジェクトの実施をソフト面から支援する。専門家などの費用はJNTが負担。資金調達のノウハウを得るためのサポートも行い、地域とJNTが協働で資金調達を行うスキームとした。具体的には、会費や事業収入による活動団体の財政基盤向上のサポート、助成金やクラウドファンディングの活用、事業化に向けたファンドレイジングなどで資金調達を行うサポートをする。
地域遺産支援プログラムでは活動への直接的支援を行うが、「相談窓口」を設置し、情報による間接的支援も行う。
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