清水会長、「夢ある業界」目指す
日本バス協会(清水一郎会長・伊予鉄グループ社長)は17日、通常理事会および新年賀詞交換会を東京・大手町の経団連会館で開いた。通常理事会では、11月10日に自民党本部で開催した「バス危機突破総決起大会」や2023年度の国の予算案の説明など昨今の業務・情勢を報告。賀詞交換会には国会議員64人を含む約350人が参加した。清水会長は、「9月20日には、日本のバス120周年を迎える。夢のあるバス業界にしたい」と話した。23年は、「EV(電気自動車)バス元年」として、国の支援を活用しながら、EVバスの普及を進める。
通常理事会の冒頭、清水会長はコロナ禍で続くバス業界の危機的現状を説明するほか、国や自治体からの支援を要望した。昨年10月から始まった全国旅行支援については、長期間での実施を切望。「コロナ禍で3年間も人流抑制を強いられた。団体旅行の回復も遅く、支援はあと3年必要だ」と訴えた。業界で大きな課題と位置付けられているEVバスの導入については、「車両導入に向けた予算が100台規模にまで大幅拡充された。30年にはEVバス1万台を目指す」と宣言した。昨年末の税制改正大綱では、カーボンニュートラルへの対応としてEVバスを導入するために充電設備などを取得した場合、固定資産税の3分の2を5年度にわたり減免する特例措置が行われることが発表されている。
このほか、通常理事会ではバス路線の存続に向けた厚みのある交付税措置への要望や、運賃の値上げによる賃金アップなど人手不足の解消への取り組み、安全安心なバス運行のための悪質な事業者を退出させる仕組みづくりなどの方針が示された。清水会長は1月15日に軽井沢スキーバス事故が7年を迎えたことに触れ、「悲惨な事故を繰り返してはならない。国の主導による事故が繰り返さない仕組み、制度作りが必要だ」と語った。バス120周年に向けては、デジタル化、マース、自動運転、魅力ある職場など、前向きな発信を行い、夢のある業界であることを訴えていく。
地域公共交通再構築元年に
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