日本バス協会、三澤会長を再任


三澤会長

訪日、消費税対策を推進

日本バス協会は6月20日、東京都千代田区の経団連会館で第92回定時会員総会を開いた。役員改選を行い、三澤憲一会長(神奈川中央交通)を再任した。2019年度事業計画案、理事の選任などを審議、承認した。

再任された三澤会長は「これからは2期目での新体制となる。バス業界はさまざまな問題を抱えているが、運転者不足は喫緊の課題だ。運転者確保のために働き方改革を進めるほか、運転者育成、女性の活用、自動運転の早期の実現に向けて取り組んでいく」と決意を述べた。また、迫る東京2020五輪・パラリンピックについては「組織委員会からは大量の車両の要請が来ている。安全確保を第一に利用者のニーズに合った輸送を行うほか、インバウンドやバリアフリーの対応も進めていきたい」と方針を示した。

来賓としてあいさつした石井啓一国交相は「バスは国民の日常生活や経済活動を支えるとともに、災害時には鉄道の代替輸送の役割を果たすなど重要な役割を担っている。少子高齢化や運転者不足が深刻化する中で、持続可能で地域に最適な公共交通を実現することが重要となる。地域交通に関する計画、支援制度の議論を進めるほか、働き方への取り組み、環境整備を共に取り組んでいく」と連携を呼び掛けた。

また、自民党バス議員連盟の逢沢一郎会長は「乗り合いバスは地方での赤字路線の維持、貸し切りバスはインバウンド需要拡大に対する人員の確保に苦労している。一方、自動運転へ大きな夢が広がり、MaaSという新しい概念、取り組みが進んでいる。国、業界ともに協力し、未来に向けて課題解決に取り組んでいかなければならない」と語った。

18年度の事業報告では、地震、豪雨など多発した自然災害への支援として、鉄道が不通になった区間への代行輸送やボランティア輸送の実施や事業許可の更新制や貸切バス適正化期間による巡回指導による事業適正化を目指した取り組み、安全コストを賄う新運賃、料金制度の見直し検討、インバウンド振興、バリアフリー対策への対応を行ったことなどが報告された。

また、19年度の事業計画としては重点事項として(1)最重要の課題である輸送の安全対策の推進、特に貸し切りバスについては、軽井沢スキーバス事故を受けての各種対策の着実な実施(2)地方のバス路線については、国および地方公共団体の支援の協力の下、維持、再編などが円滑になるように努める(3)インバウンドの進行、働き方改革の実現およびバリアフリー対策の推進に取り組むとともに東京オリンピック・パラリンピックの準備を進める(4)消費税率引き上げに伴う運賃改定の準備と円滑な実施―の四つを挙げた。

このほか、輸送サービスの改善、向上として、IT技術の活用など、高速バスネットワークの充実としてバスターミナルの整備など、貸し切りバス事業の安全確保と健全な経営基盤の確立として、貸切バス事業者安全性評価認定制度の運用など、働き方改革の実現と運転者の確保対策として大型二種免許取得要件の緩和や外国人材の活用の検討などを掲げた。

懇親会では多数の国会議員が出席し、祝辞を述べた。

三澤会長

 
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