日本政策金融公庫は2月9日、東京の全国生衛会館で平成23年度予算案の説明会を開いた。制度の改正では、「観光圏整備法」に基づく事業を行う旅館業者に対する貸付利率の特例措置を来年3月末まで延長するほか、省エネルギー設備の導入にかかる貸付利率の特例措置も同月まで延長し、導入する設備の対象品目に、旅館業に限り電気自動車(EV)用充電設備を追加した。
観光圏整備法関連の制度は平成21年度に導入。国に「観光圏」と認定された地域の宿泊施設が「パブリックスペースを地域文化の展示、体験・交流の場として活用するため改修する」「外観の統一感を創出するため、外壁などの改修を行う」「従来の団体旅行客から個人・グループ客へ対応するため客室改修を行う」などの時に、利率の特例措置を講じるもの。貸付後5年間、通常より低い「特別利率C」を適用する。
省エネルギー関連では、事業者が「太陽光発電設備」「クリーンエネルギー自動車」など一定の省エネルギー効果が認められる設備を導入する際の貸付で「特別利率B」または「特別利率C」の適用を1年間延長するほか、「特別利率B」の適用品目で旅館業に限り、EV用充電設備を追加した。全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)が昨年2月、日産自動車とEVの充電設備の普及促進で覚書を締結したことを背景に、同年度は旅館業に限り追加が決まった。
同年度の生活衛生資金貸付の規模は1200億円。前年度貸付規模1400億円から200億円の減額だが、公庫では「平成21年度の貸付実績が625億円で、22年度もほぼ同じ水準。資金ニーズに十分こたえられる」としている。