日本旅行はこのほど、中国・北京に同社100%出資の現地法人旅行会社「日旅国際旅行社(北京)有限公司」を設立した。上海の「日旅国際旅行社有限公司」に次いで、同社2カ所目の中国本土での現地法人となる。中国で日本から100%出資の旅行会社を2社設立したのは同社が初めて。首都に営業拠点を置くことで、中央官庁からの情報収集力を強化するとともに、中国国内での販売ネットワークを拡充。将来の外資企業への中国人の海外旅行取り扱い解禁を見据えて、同社の意思をスムーズに反映させるため、合弁ではなく独資とした。
新会社は昨年12月初旬、中国国家旅游局から設立の認可を受け、開設の手続きが進められてきたが、3月15日付で手続きが完了。4月1日から営業を始めた。
資本金600万人民元(7800万円)を日本旅行が100%出資。従業員8人で、当面は日本人の中国旅行の受け入れ業務と在中国日本人の旅行取り扱いを行う。社長には上海現地法人の副董事長を務めた林邦俊氏が就任。初年度3200万円(248万人民元)、約4万人、2015年に5億9千万円(4590万人民元)の取り扱いを見込む。
上海に次いで、首都の北京に現地法人を設立したのは、中国の中央官庁との密接なかかわりによる情報収集力の強化と、販売ネットワークの拡充を図るため。同社では北京に駐在事務所を置いていたが、営業活動ができないため、営業にかかわる情報収集の範囲も狭くなっていたという。
また、外資系合弁旅行会社を対象とする中国人アウトバウンド業務解禁の動きがある中で、合弁ではなく独資としたのは、将来的に同業務が独資に認められた際、親会社である日本旅行の経営方針をスムーズに現地法人に反映させるため。日本へのインバウンド事業を拡大、成長させていくには、独資が最適と判断した。
上海の現地法人は2004年10月22日の設立で、同年11月1日に営業開始した。2010年の取り扱いは約9900万人民元(12億8700万円)、約3万7千人。北京の新会社には、ホテルの仕入れ、品質管理、VIP対応、中央官庁対応など、業務の一部を振り分ける。