日本旅館協会(北原茂樹会長)は17日、クレジットカードを使わないキャッシュレス決済システム「Paidy(ペイディー)」を提供するPaidy(本社・東京都港区、杉江陸社長)との業務提携を発表した。協会の会員旅館・ホテルにペイディーの導入を促し、ノーショー対策やペイディーの利用が多い若年層などの誘客に活用してもらう。
ペイディーは、クレジットカードや銀行口座の情報が不要で、利用者は携帯電話番号とメールアドレスを入力するだけで即時決済できるサービス。翌月にコンビニエンスストアでの支払いや銀行振込、口座振替を選択して代金を支払う。
旅館・ホテルでも導入が始まっているほか、旅行分野では、航空券の比較検索・予約サイト、エアトリなどが決済手段として導入している。
旅館・ホテルがペイディーでの決済を導入するには、連携可能な予約システムを採用している必要がある。「ダイレクトイン」は連携済み。「予約プロプラス」は2019年末に、「宿シス」は20年初めに連携が完了する予定。他の予約システムとの連携も進めている。
宿泊客は、旅館・ホテルの予約ページでペイディーでの決済を選択し、携帯電話番号とメールアドレスを入力後、2段階の認証コードを入力するだけ。旅館・ホテルにとっては、即時に決済が確定し、代金回収はペイディーが行い、入金は100%保証される。ノーショーなどのキャンセル料も収受できる。
初期・月額費用は発生せず、負担は決済手数料だけ。標準の手数料率は業種などで異なり、小売、宿泊などはおおむね3.5%だが、業務提携に伴い協会の会員施設には優遇料率が設定される。
ペイディーの会員数は約250万人。利用者の6割以上が34歳までの若年層。女性の比率が高い。ペイディーは、会員数の目標に19年末までに500万人、20年末までに1100万人を掲げる。
記者発表会が17日、日本旅館協会の事務所(東京都千代田区)で行われた。業務提携について同協会の北原会長は「キャッシュレス時代に備えた事前決済手段の導入とともに、若い世代に旅行にお金を使ってもらう仕掛けにもなる」と会員による活用を期待した。
ペイディーの杉江社長は「既存の決済手段とは違ったキャッシュレス決済を提供する。業務提携によりノーショーへの対策や若年層などの取り込みといった業界のニーズに応え、旅館に貢献していきたい」と語った。
旅館・ホテルのキャッシュレス決済について日本旅館協会では、電子決済委員会(担当・新山富左衛門副会長、西野目智弘委員長)を設置して普及を推進している。これまでにもPayPal(ペイパル)、WeChatPay(ウィーチャットペイ)などの導入キャンペーンを実施し、会員に選択肢を提供してきた。
日本旅館協会の北原会長(中央)、電子決済委員会の西野目委員長(右)とペイディーの杉江社長