日本旅館協会は2月16日、東京都江東区の東京ビッグサイトで「アフターコロナ時代を切り拓く地方の挑戦」と題したセミナーを開催した。ホテルニューアワジ(兵庫県)の木下学社長を講師に迎え、ウィズコロナ期の宿泊業経営を振り返り、アフターコロナ時代の旅館・ホテル経営、観光業のあり方を参加者に示した=写真。
木下氏はウィズコロナ期に浮上した宿泊業のキーワードとして、「衛生意識の向上」「アウトドア志向」「健康志向」の三つを挙げた。「衛生意識の向上」では通常清掃に加え特別清掃の実施、非接触型サービスの整備などの重要性を伝えた。「アウトドア志向」では上質な露天風呂付きやアウトリビングの設置など、地域の魅力の掘り直しが必要になると説明した。「健康志向」では宿泊客に提供する料理や飲み物に加え、滞在の仕方にも健康志向が含まれるとの考えを述べた。
アフターコロナ時代には、ビジネス客、宴会・団体客の減少などが続き、各施設は変容を求められる一方で、地方の旅館・ホテルなどが抱える労働力不足は、都市の求職者の受け皿となる可能性を秘めていると分析した。都市部の人から選ばれる地域づくりを進め、都市部と地方部が連携することで持続可能な地域社会が実現するとの展望を示し、その橋渡しを旅館・ホテル、観光業が担えると評した。
昨今、宿泊施設の経営で話題に挙がることが多い客単価に関しては「生産性向上のために、お客さま単価を上げることは非常に重要。各スタッフも全力で業務に従事してくれている。単価を上げてでもお客さまに来てもらえるサービスの提供に努めたい」と述べ、生産性向上と宿泊者のストレス軽減を目指し、客室内でのチェックアウトサービス導入を検討しているとの考えを明らかにした。
ホテルニューアワジ 木下学社長