日本旅館協会、官邸で生産性向上の成果報告


第2回生産性向上国民運動推進協議会(写真・首相官邸ホームページから)

 日本旅館協会(針谷了会長)の生産性向上モデル事業に選定され、業務の改善などに取り組んだ旅館・ホテルが、6月21日に首相官邸で開かれた政府の「生産性向上国民運動推進協議会」の第2回会合で成果を報告した。発表したのは京の宿綿善旅館(京都市)と小豆島国際ホテル(香川県土庄町)。成果報告を踏まえて日本旅館協会は、引き続き旅館・ホテルの生産性向上に取り組むことを宣言した。

 発表した内容は、日本旅館協会がモデル旅館・ホテル8軒を選び、観光庁などの支援を受け、これまでに取り組んだ成果の一部。2015年6月に開かれた「サービス業の生産性向上協議会」で安倍晋三首相が、宿泊業、小売業、飲食業、介護業、道路貨物運送業の代表者に生産性向上への取り組みを要請したことを受け、今回報告の場が設けられた。

 宿泊業の発表では、京の宿綿善旅館の若女将、小野雅世氏、小豆島国際ホテルの専務取締役、木下恭一郎氏が、生産性向上に取り組んだ感想を述べた。両施設のコンサルティングを担当した日本生産性本部の主席経営コンサルタント、近藤幸雄、鈴木康雄の両氏が改善の内容を説明した。

 京の宿綿善旅館は客室24室の老舗旅館。フロント係と客室係の業務連絡にかかる労力をタブレット端末の導入などで軽減させたほか、従業員の業務スキルを図表化し、担当部署を横断した繁忙期の相互応援態勢を構築して労働時間を削減した。

 小豆島国際ホテルは、客室120室の観光ホテル。料飲部門の宴会前後の作業改善として、5S(整理、整頓など)と役割分担の見直しによって食器の準備や下膳、洗い場での仕分け作業の労働時間を短縮。客室清掃でも無駄な作業を特定して改善を実施し、顧客満足度を維持しつつ効率化を実現した。

 生産性向上の推進について京の宿綿善旅館の小野氏は「労働人口の減少が明白な今、大切な取り組みだと実感した。セミナーを行うなど、他の旅館とも情報を共有していく」。小豆島国際ホテルの木下氏は「社員一丸で取り組めたことは大変有意義だった。今後の課題としてIT化、機械化、ロボット化をさらに進める」と報告した。

 同協議会には、日本旅館協会の役員、委員会活動に参加する会員施設の経営者らが出席。日本旅館協会の渡邉和裕副会長が「社員の給与を上げ、働きがいのある職場にし、有能な人材を確保するには生産性の向上しかない。現場社員による改善活動、IT化、機械化などを普及し、生産性の向上に取り組んでいく」と宣言した。

 同日は宿泊業以外にも、道路貨物運送業、介護業が生産性向上の実施例を報告。安倍首相は「生産性向上の鍵は、人づくりだろうと考えている。次なる安倍政権の柱を『人づくり革命』とすることにした。この協議会での皆さんの日々の努力から成功のポイントや課題を抽出し、この夏に立ち上げる構想会議に積極的にインプットしてもらいたい。現場の皆さんの発想、力が、日本全体の生産性を上げることにつながっていく」と述べた。  

 
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