日本旅館協会(針谷了会長)は6日、理事会を東京都内で開いた。来年6月の施行が決まった住宅宿泊事業法(民泊新法)について、民泊が地域に与える影響を懸念し、実施日数や区域を条例で制限するよう都道府県などへの働きかけを強化することを確認した。今後の活動では、風営法の会員旅館への規制除外を求める決議を採択し、関係機関に要望していくことを決めた。
民泊新法について針谷会長は、都道府県、保健所設置市、特別区が民泊実施の制限条例の検討を進めていることを踏まえ、「区域を定めて、(年間提供日数の上限)180日をせばめる条例を制定してもらう必要がある」と述べ、改めて各支部に陳情活動を呼びかけた。
民泊新法では、観光庁などが具体的な運用の指針としてガイドラインを策定中だが、旅館協会では、参院国土交通委員会が採択した付帯決議の反映を期待している。付帯決議の中には、「政府は、地方自治体において、生活環境の維持保全や地域の観光産業の育成・促進の必要性など、それぞれの地域の実情や宿泊ニーズに応じた住宅宿泊事業の制度運用が可能となるよう、十分な配慮を行うこと」の項目がある。
一方、旅館に関わる規制の見直しでは、風営法について問題提起した。協会会員が国内外の旅行者におもてなしを提供し、観光立国の推進に寄与していることを強調した上で、協会会員施設を風営法の規制対象から除外するように要望する決議文を採択した。
風営法の規制について針谷会長は「接待行為があれば、許可を取るように指導を受けているが、会員施設にこうした許可が必要なのか疑問だ。会員施設にあっては、いかがわしい行為は皆無。政治運動には3~5年かかるかもしれないが、旅館の誇りを取り戻せるように除外に向けて取り組んでいくべきだ」と訴えた。
この他に理事会では、政府、与党で議論されている「出国税」などの観光施策の新たな財源の創出に関して、「国税としての宿泊税(ホテル税)には断固反対」の方針を確認した。