日本旅館協会会長に近兼氏


近兼会長

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 日本旅館協会は6月28日、東京都新宿区の京王プラザホテルで通常総会を開いた。昨年10月、日本観光旅館連盟(日観連)と国際観光旅館連盟(国観連)の合併による法人設立時に定めた定款付則に基づき、近兼孝休会長代行(香川・湯元こんぴら温泉華の湯紅梅亭)が新会長に就任した。新法人は2期目に入ったが、旅館経営をとりまく諸問題の解決や協会会員の減少への対策など課題は山積。委員会や支部の活動を通じて会員が一致結束し、課題を解決することを確認した。

 佐藤義正会長(岩手・湯守ホテル大観)は退任し、常任相談役に就任した。会長職は定款付則の中で、合併前に国観連会長だった佐藤氏が2013年度総会まで、日観連会長だった近兼氏が14年度総会まで務めることが決められていた。近兼会長の任期は1年。

 あいさつで近兼会長は「大役に身の引き締まる思い。役員、会員の皆さま、いろいろな人の支えがあって今日に至った。諸課題については全身全霊で解決に取り組み、目的を達成したい」と意欲を語った。

 会員数は設立時の昨年10月には3381軒だったが、4月時点では147軒減少し3234軒となった。旅館協会の設立以降、新組織の体制づくりや各種事業の推進に取り組んでいるが、旅館をとりまく経営環境の厳しさもあり、協会運営は加盟メリットの強化などの課題を抱えている。

 総会では各支部連合会から旅館協会で取り組むべき課題として、(1)クレジットカード会社に支払う手数料率の低減(2)改正耐震改修促進法の成立に伴い耐震診断が義務付けられた事業者の負担軽減や診断結果の公表時期への配慮(3)原発事故に伴う風評被害の払拭—などが挙げられた。

 課題に対しては各委員会が対応を検討していることを報告。担当は総合政策委員会(大型旅館、旅館、ホテルの3委員会で構成)が、耐震問題への対応や外客受け入れの促進など。IT戦略委員会が、客室販売の支援事業「オープンウェブ」の推進など。経営強化委員会が、クレジットカードの手数料や税制の問題など。女性経営者委員会が、旅館業と地域が一体となった観光振興策など。

 事業運営については、会長を退任した佐藤常任相談役が「委員会がスピード感を持って取り組んでおり、まもなく実を結ぶはずだ。しっかりと事業を実施し、旅館業を守っていく」と述べたほか、「これからは近兼会長を中心に当協会の揺ぎない地歩を築いてもらいたい。今こそ正念場だ。会員に一致協力をお願いする」と訴えた。

欠員補充で 4理事選任
 旅館協会の総会では、事業計画案や予算案を承認したほか、理事の補充選任を行った。総会、懇親会には会員、来賓約350人が出席した。

 欠員補充で理事に就任したのは、手塚鋼氏(秋田県・秋田温泉さとみ)、廣川琢哉氏(栃木県・松川屋那須高原ホテル)、金原貴氏(静岡県・時わすれ開花亭)、湯通堂温氏(鹿児島県・ホテル秀水園)。また、専務理事には中村義宗常務理事が就任し、常務理事に小関政男専務理事が就いた。任期は他の役員と同じ14年度の総会まで。

 旅館協会の今年度会費は、合併前の所属団体の会費額を適用。重複会員は旧国観連の会費額が適用される。14年度からは客室数などに応じた新しい会費制度を導入する。

 総会、懇親会には来賓として、鶴保庸介国土交通副大臣、井手憲文観光庁長官、盛山正仁法務大臣政務官、野田聖子自民党総務会長をはじめ、観光関係団体、旅行会社のトップらが多数出席した。

近兼会長
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