日本旅館協会関東支部連合会は7日、玉川大学(東京都町田市)の観光学部観光学科の1年生32人を対象に出前授業を開いた。関東運輸局が推進する宿泊業の人手不足対策事業の一環として実施。同会の濱田裕章氏(東京都・龍名館)がホテルの仕事内容やキャリアについて紹介するとともに、宿泊業の魅力をアピールし、業界のイメージアップを図った。
濱田氏は、社員の健康に配慮した勤務体制の整備や、脱炭素に向けた活動、営業分析ツールの開発など、接客の枠を超えたさまざまな取り組みを紹介。また、カスタマーハラスメント対策として、弁護士を交えて、ケーススタディを通した社員教育の実施や、社員の個人情報保護を目的とした通称名(ビジネスネーム)の導入を検討していることを明かした。
特に学生が関心を寄せた入社後のキャリアについては、「ITやAIに取って代わられると言われている時代だからこそ、人間力が求められている。『この人についていきたい』と思わせるような人間力を磨けるのがホテル業界だ」と濱田氏。こうした能力を育成するため、独自の研修制度や職階制を導入していることを解説した。
授業の最後には、「ホテル一つでも働き方はさまざま。自分に適していて、成長の機会がある企業を見つけてほしい」などと学生にアドバイスを送った。
質疑応答では、学生から採用基準やインバウンド客への対応について積極的に意見が寄せられた。「(接客以外にも)幅広く活動されていることを知って勉強になった。これからも視野を広げて学んでいきたい」との感想もみられ、業界への理解が一層深まったようだ。
同会は11月21日にも秀明大学(千葉県八千代市)の観光ビジネス学部の2年生を対象に、同様の出前授業を実施する予定。
学生を前に出前授業を行う濱田氏