日本旅館国際女将会(長坂正惠会長)は9月24日、会員旅館である宇奈月温泉・ホテル黒部で9月定例会を開いた。30名が参加した。
「ホテ黒 コロナの一大事」と題して、同ホテル代表取締役社長の中島勝喜氏が講演した。
中島社長は、「コロナ禍を経験し、ジタバタもがきながらも、私が挑戦してきたこと、学んだことを仲間の皆さんにお伝えしたい」として、①ももいろクローバーZの聖地に②レトルトカレーの販売③鉄道ファンへのアプローチ④週2日の定休日の定着化⑤その他(事業再生、改装・補助金活用等)の5項目について、包み隠さず披露した。
売店スペースをももクロ専用コーナーに改装し、全国からファンが宿泊に訪れる「ももクロの聖地」となったきかけについては、「2019年4月に黒部で「ももクロ」のライブがあった際、メンバーが宿泊し、ラジオで話したことが聖地化のきっかけ。SNSのフォロワー数も急伸。偶然の産物とはいえ、尖る、突出することの大切さを学んだ」と話した。
鉄道ファンへのアプロ―チでは、黒部峡谷鉄道を走るトロッコ列車を宿から眺めることができ、列車に乗車している観光客からも宿のバルコニーから手や旗を振る人がよく見えるロケーションで、元々鉄道ファンの宿泊客が多かった点に着目。クラウドファンディングと富山県のリバイバル補助金を活用し、黒部峡谷鉄道の親会社である関西電力の協力も得て、子供向けのプラレールルーム、大人向けのNゲージルームを一般客室を改装して設置した。「鉄道でも尖ることに成功した」(中島社長)。
週2日の定休日の定着化では、①少人数で運用できるようにすること②欲張って毎日満室にしようとしない③単価を上げる④社員の働きやすさを追求する⑤原価管理を正確にする⑥節約できることは節約する⑦整理整頓を徹底―を基本に、「綿密な数値管理と、やる!という不退転の決意で実施した」と述べた。
中島社長はまた、実感を込めて、「コロナ禍や自然災害などは業界全体、地域全体で乗り越えることが必要。特に地方旅館では外国人採用はもはや必須だと思う。SNSの活用も旅館はやったほうが良い」と指南した。
中島社長が講演した