日本経団連、観光人材育成で意見書


 日本経済団体連合会は22日までに、「観光立国を担う人材の育成に向けて」と題する意見書をまとめた。意見書は観光分野における人材育成の現状と課題を指摘した上で、(1)地域の専門家を育てる教育の拡充(2)観光専門職(仮称)の創設(3)アジア人留学生の活用──など12項目の施策を提言した。日本経団連は今後、人材育成以外の要素も含めた観光分野の、包括的な成長戦略も提言する方針だ。

 地域の観光振興策を立案、実施する人材と、観光業に携わる人材に焦点をあて、それぞれの育成と活用方策について方向性を示した。

 まず地域人材については、地元の大学の観光系学部・学科を卒業した学生が地元にとどまるような仕組みを作ることが必要とし、観光専門職や人材バンクの創設などを求めた。

 日本経団連によると、04年度から08年度の5年間で18都道府県が観光専門の部や局、課を設置するなど、観光部門の組織体制を強化している。こうした動きを評価しながらも「通常の人事ローテーションに則り、短期間で職員が交代する状況では観光政策を専門とする職員を育成することは難しい」と指摘。

 その上で「自治体は観光専門職を新設し、地域の観光系学部・学科の卒業生など地域観光の振興を志す学生を採用する、一貫して観光担当部局に配置することで、観光振興や地域政策に特化した人材を育成すべきだ」とした。

 人材バンクについては自治体や観光協会、NPOが協力して、旅行会社OBなどに活躍の場を紹介するプール機関の創設を求めた。

 意見書は在外公館の活用にも言及。外国人観光客の誘致活動に積極的に関与させるとともに「観光系学部・学科の学生をインターンとして受け入れ、観光PR活動に従事させれば、グローバル化した人材育成の貴重な機会になる」と提言。

 また、観光業に携わる人材育成では、観光学部・学科と業界の協力を強めるべきだと指摘し「企業奨学金の創設などの形で支援したり、観光業界が必要とする調査、研究を共同で行ったり、委託することも考えられる」とした。

 
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