日本観光振興協会、「日本遺産ツーリズム」を促進


日本遺産ツーリズムのロゴ

公共交通で体験周遊を促進

 日本観光振興協会(=日観振、山西健一郎会長)と日本遺産いざ鎌倉協議会(会長=千田勝一郎鎌倉市副市長)は「日本遺産ツーリズム」で新たな取り組みを始めた。鎌倉市日本遺産周遊ウェブサイト(https://www.trip-kamakura.com/site/japanheritage/)を2月21日に新設。京急観光バスと連携して、スマートフォンを使ったモバイル乗車券「鎌倉フリーきっぷ」も新たに開発した。

 日本遺産とは、地域の特色や歴史的魅力を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定するもの。ストーリーを語る上で欠かせない魅力あふれる有形・無形のさまざまな文化財群を、地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内だけでなく海外へも戦略的に発信していくことで、地域活性化を図ることを目的としている。日本遺産の認定は2015年から開始。20年に当初目標の100件を超え、現在104件が認定されている。

 日観振は19年に「日本遺産ツーリズム事業」を立ち上げ、(1)日本遺産(文化財)の認知度をより高め、地域の新たな観光資源として生み出し価値を見いだすこと(2)日本遺産(文化財)を周遊するモデルコースを策定し、公共交通機関で周遊することで、日本人観光客はもちろん、訪日外国人観光客の回遊性と地域全体の経済効果を高めること(3)公共交通機関の利用を促進することで、地域交通事業者の支援につなげること(4)本事業をきっかけに地域全体が連携し、自走化して観光振興を図ることができる環境を整えること―を目的に各地の日本遺産の支援を実施。

 これまでに沖縄県那覇市・浦添市「琉球王国時代から連綿と続く沖縄の伝統的な『琉球料理』と『泡盛』、そして『芸能』」、熊本県八代市「八代を創造した石工たちの軌跡~石工の郷に息づく石造りのレガシー~」などを各2カ年計画で日本財団「観光地域づくり支援基金事業」の助成のもとに実施してきた。

日本遺産ツーリズムのロゴ

 

 日観振で地域ブランド創造を担当する小貫誠審議役は日本遺産ツーリズム事業について「公共交通機関で、日本遺産という新しい切り口のコースを巡ることで、生活者目線での景色も味わうことができ、地域によっては観光客の分散化につながり、オーバーツーリズム対策にもなる。教育旅行の班別行動にも活用していただければ」とその有用性を強調する。

 鎌倉市では2016年4月に「いざ、鎌倉~歴史と文化が描くモザイク画のまちへ~」が日本遺産に認定された。鎌倉の歴史と文化が描くモザイク画のまちなみがおりなす魅力をストーリーとして国内外に広く情報発信することを目指していたが、ストーリーをより細分化して具体的な体験として分かりやすく伝えていくことに課題があった。

 鎌倉市の課題を受けて日観振は、22年12月に有識者検討会議を設置。「公共交通機関を活用した日本遺産体験周遊ツーリズム」の実現に向けて、日本遺産いざ鎌倉協議会や地域の交通事業者と2年間にわたって協議。新しい仕組みの構築のために事業支援を行ってきた。

 今回の取り組みでは、鎌倉市の日本遺産「いざ、鎌倉~歴史と文化が描くモザイク画のまちへ~」を、公共交通機関を活用し効率良く周遊できるモデルコースを策定。鎌倉の日本遺産の魅力をストーリーとして体感できるようにした。

 具体的には、鎌倉市観光ポータルサイト「鎌倉観光公式ガイド」内に日本遺産の構成文化財の情報やマップ、モデルコース等を掲載。“鎌倉市日本遺産周遊ウェブサイト”として2月21日に公開した。

 

日本遺産ツーリズム鎌倉のポスター

 公共交通機関を活用して周遊できるモデルコースは、(1)「鎌倉『参詣』ルート~江戸時代から鎌倉の観光は始まっていた?!江戸時代における鎌倉の定番「参詣」を辿る~」(2)「鎌倉文化人ルート~時代の文士・文豪に思いを馳せる鎌倉文学を体験する~」(3)「鎌倉“武士道”仏教ルート~鎌倉武家政権に大きな影響を与えた、鎌倉仏教に触れる~」(4)「女性の思いを馳せるルート~鎌倉時代から近現代にかけて、それぞれの時代における女性の生活や想いを辿る~」―の4ルート。各ルートを実際に周遊しながら市内の飲食店や一部の構成文化財で使える特典クーポンも同サイトに掲載した。

 本事業では公共交通機関と連携して新たなパスも開発。3月1日から使える京浜急行バスのモバイル乗車券「鎌倉フリーきっぷ(おとな600円・こども300円)」を2月26日に発売した。

 今回の周遊に活用できる既存の公共交通機関パスとして、江ノ島電鉄「のりおくん(おとな800円、こども400円)」、江ノ電バス「のり旅きっぷ(おとな600円、こども300円)」なども積極的に紹介していく。

 日観振の鎌倉市に対する今回の支援事業では、JTB横須賀支店が事務局業務を担当した。

 

京浜急行バスのチラシ

 

 
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