日本観光研究学会(会長・梅川智也国学院大学教授)は、「新型コロナ・特別プロジェクト」を6月に発足させた。プロジェクトは、定量、国際、変容、方策の4チームで編成。新型コロナが旅行・観光にどのような影響を及ぼしたのか、また今後どのような対応が期待されるかなどについての研究を開始した。
古屋秀樹教授(東洋大学)を中心とする定量チームでは、「新型コロナウイルス感染症の旅行行動への影響に関するアンケート調査」を、大学生981人を対象に7月下旬に実施。その結果、73%が「今後1年以内に国内観光旅行に行きたい」と回答したものの、実施予定時期については「11月以降」が全体の65%を占めた。目的地を選ぶ際に重視することは、「目的地の感染者数の減少」「事前予約制などによる入場者数の制限」「地域での公衆衛生向上への積極的取り組み」「旅行者に対する地域関係者の受け入れ感情が整っていること」が上位に挙がった。
信頼できる情報入手のための利用情報源については、ニュース系アプリ・サイト(ヤフー、ラインなど)、SNS(ツイッター、ライン、インスタグラム、フェイスブックなど)、民放のテレビ・ラジオ、政府による情報、NHKのテレビ・ラジオ、地方自治体など地域からの情報、家族・友人からの口コミの順となった。
十代田朗准教授(東京工業大学)、高田剛司教授(立命館大学)を中心とする変容チームでは、同学会の会員1083人に対して「新型コロナウイルス収束後の観光行動変容に関する緊急アンケート調査」を5月下旬に実施。334人の観光研究者が回答した。国内旅行需要が2019年と同レベルに回復するには2年以上かかり、海外旅行、訪日旅行では2年後でも困難という結果が出た。
「今後望まれる観光」は、自然観光(75.1%)▽歴史・文化観光(48.5%)▽温泉旅行(41.9%)▽登山・山歩き(39.5%)▽高原リゾート(39.2%)―などとなった。