日本観光旅館連盟はこのほど、会員の旅館・ホテルが海外の旅行会社から訪日個人客の送客を受ける場合の料金の決済方法で、カード会社、三菱UFJニコスと提携した。従来、海外の旅行会社との間に、金融機関を通じた宿泊料の受け取りや送客手数料の送金が発生すると、為替取扱手数料や送金手数料がかかり、個人客のような小口の金額の授受には負担が大きく、外客受け入れの障害だった。今回導入した決済方法では、旅館・ホテルが、海外旅行会社のカード口座から低額な手数料で宿泊料を引き落とすことができる。
この決済方法は、非対面方式のカード決済システムで、会員施設が日観連本部を通じて三菱UFJニコスと加盟店契約を締結すれば、送客手数料を差し引いた宿泊料を海外旅行会社のカード口座から引き落とすことができる。海外発行のビザカード、マスターカードに対応し、取扱手数料率は2.8%。
施設側の決済の主な手続きは、海外の旅行会社から宿泊予約を受ける際に、旅行会社のカード番号などを聴き取り、引き落としのための承認番号を三菱UFJニコスから取得する。旅行者の宿泊完了後、請求書にあたる書類を三菱UFJニコスの事務センターに郵送するという流れ。
これまでは、海外の旅行会社から宿泊料を受け取るケースでも、送客手数料を送金するケースでも、金融機関を通すため、円為替取扱手数料や海外送金手数料などが発生していた。少人数の個人客の場合、旅館・ホテルが負担すれば採算が合わず、料金に反映させれば宿泊料が高額になる問題があった。
日観連では、この問題が個人客受け入れの大きな障害だとして、新たな決済方法を研究していた。昨年6月には日観連東京支部が、政府の構造改革特区に要望を出すなどして、銀行法上の為替取引の解釈について整理。このほどカード会社との提携がまとまった。
日観連の中村義宗専務理事は「トラベルマートなどの商談会でも送金方法の問題を解決できず、海外エージェントとの商談が成立しないケースが多かった。日観連には施設規模は小さくても、個人客の受け入れに前向きな宿が多い。この決済システムを積極的に活用してもらいたい」と話す。
また、この決済システムは、ギャランティーリザベーション(宿泊予約保証サービス)にも対応している。海外の個人客の直接予約、旅行会社経由の予約いずれでも、不泊時のキャンセル料を取扱手数料率4%で請求できる。請求は日観連本部を通じて行う。