日本観光旅館連盟(近兼孝休会長、3276会員)は16日、東京・新宿の京王プラザホテルで通常総会を開いた。日観連は昭和25年に「国鉄推薦旅館全国連盟」として発足して以来、60周年を迎えた。節目の年にあたり近兼会長は、旅館業の直面する問題の解決に努力する姿勢を改めて強調した。懸案だった地方支部再編の議案も原案通り承認され、9つの「支部連合会」の新体制が正式にスタートすることになった。
近兼会長は「日観連は記念すべき節目を迎えた。私は日観連が大好きだ。旅館経営は難しい問題も抱えているが、宿の経営者の苦境や次世代の不安などがぬぐえるよう全力で取り組む」と述べ、旅館業の振興、日観連のさらなる発展に向け、会員の団結を求めた。
地方支部の再編では、旧国鉄の鉄道管理局の単位を継承してきた支部が多かったが、国土交通省の地方運輸局の所管地域を基本にした編成に改めた。25支部から9支部連合会の体制となり、各支部連合会の下部組織として都道府県単位の支部を置く。一部の支部連合会では、下部組織に現行の活動単位を残しながら、徐々に都道府県単位に移行する。
支部再編は2003年度から推進し、再編支援金なども交付し、北海道と四国はすでに1つの支部になっていた。再編により運輸局や地方公共団体などとの連携をスムーズにし、地方の観光事業を促進するのが目的。また、国際観光旅館連盟とほぼ同様の地方支部体制になったことから、国観連との合併に向けた条件整備が1つ整った形にもなった。
このほか組織のあり方では、公益法人改革への対応として、日観連の事業目的などを踏まえ、「一般社団法人」への移行に向けて準備を進めることが承認された。
総会や懇親会には、会員と来賓を合わせて約300人が出席した。
懇親会では近兼会長と、国観連の佐藤義正会長、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の野津洋三副会長、日本温泉協会の廣川允彦副会長の4人で日観連60周年を祝うくす玉を開いた。
総会や懇親会には、藤本祐司国土交通大臣政務官、溝畑宏観光庁長官をはじめ、連立与党でつくる観光振興議員連盟会長の川内博史衆院議員(民主党)、元国家公安委員長の泉信也参院議員(自民党)らが駆けつけた。
また、60周年記念講演会を開催。JR東日本の松田昌士相談役が「60周年に想う」と題して、観光立国を支える人材育成の必要性などを訴えた。
定期再選考を実施 中国語講座開催へ
日観連総会では、今年度の事業計画などが承認された。国内旅行の振興や外客受け入れ促進に向けた事業を推進する。
国内旅行の振興では、ローカル鉄道の旅の推進に向け、JR各社や旅行会社との連携、日本鉄道OB会連合会へのPRなどの方策を探る。また、旅行業との取引で全額支払い保証などが受けられる全旅のクーポン制度を会員に周知する。
外客受け入れでは、国費などを活用した中国語講座を開催する。日本観光協会の主催の形式で、今月の札幌を皮切りに各地で実施したい考えだ。
今年度は、3年ごとに行う会員資格の定期再選考を実施する。会員には費用として1万5千円を負担してもらうが、経営環境などに考慮して今回は1万円とする。
役員の補充選任では本部副会長に東北支部連合会会長の菅野豊氏(福島・郡山、萩姫の湯栄楽館)が就任する。
日観連の通常総会