日本銀行はこのほど、地域経済報告(さくらレポート)の1月分を公表した。全国9地域の景気判断は、前回報告(昨年10月)から3地域で判断を引き下げ、6地域は前回の判断を維持した。判断を引き上げた地域はなかった。ただ、全てが「拡大」または「回復」の判断を維持している。
判断を引き下げたのは北陸、東海、中国。北陸は「緩やかに拡大」から「引き続き拡大基調にあるが、その速度は一段と緩やかになっている」。東海は「拡大」から「緩やかに拡大」。中国は「一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに拡大」から「幾分ペースを鈍化させつつも、基調としては緩やかに拡大」とした。
日銀は「海外経済の減速や自然災害などの影響から輸出・生産や企業マインド面に弱めの動きが出ている」ものの、「企業・家計の両部門において、所得から支出への前向きな循環が働くもとで、設備投資や個人消費といった国内需要が増加基調を続けている」と判断の背景についてコメントしている。
観光関連は、北海道は「一部に弱めの動きがみられるものの、堅調に推移」、九州・沖縄は「一部に弱めの動きがみられるものの、全体では持ち直しの動き」。
旅行取扱額は、関東甲信越は「増加傾向」、近畿は「横ばい圏内の動き」とした。
宿泊・観光関係企業の主な声は次の通り。
「韓国からの観光客は大幅に減少しているが、比較的ウエートが大きい中国や台湾からの観光客でおおむねカバーできている」(北海道・札幌、宿泊)。
「台風19号等の被災地への観光を自粛するムードの強まりなどから、10月の入込客数は前年を大きく下回った。もっとも、11月中旬以降は、当施設への入込客数は回復しており台風の影響はほとんどなくなっている」(東北・福島、観光施設)。
「台風19号の影響を受けて北陸新幹線が一部不通となったことから、宿泊客数が大きく減少した。もっとも、運行再開後は、完全な復旧までは至っていないものの、インバウンド客を中心に客足が戻りつつある」(北陸・金沢、宿泊)。
「このところ外食部門の客足が落ち込んでいる。主要顧客であるファミリー層が消費税率引き上げをきっかけに節約志向を強め、軽減税率が適用されない外食を控えている可能性がある」(関東甲信越・新潟、宿泊・飲食)。
「ラグビー世界大会の影響で満室となったほか、外国人客の割合が顕著に上昇した」(東海・名古屋、宿泊)。
「都心部ではホテルの供給過剰感がうかがわれているものの、訪日外国人客の増加を受け、高級ホテルの建設や、低価格帯の宿泊施設との差別化を図るための客室改装が引き続きみられている」(近畿・大阪、宿泊)。
「消費税率引き上げ後に開催されたグルメイベントは非常に盛況で、税率引き上げ後の消費者マインドの冷え込みは感じられない」(中国・下関、宿泊・飲食)。
「旅行申し込み件数は前年を上回っているが、消費税率引き上げによる節約志向の高まりからか、近場で単価の低い商品の販売ウエートが高まっている」(四国・高知、旅行)。
「日韓関係の影響により韓国からの団体ツアー客が皆減し、平日の客室稼働率が低下。韓国からの観光客の早期回復が見込み難い中、平日の利用が期待できる国内の熟年夫婦等をターゲットとする宿泊プランを拡充している」(九州・沖縄・鹿児島、ホテル)。